●「続・知られざる日豪関係」(895)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 潜水艦でやってみたが、輸送量はわずかにとどまった上、危険が大きすぎた。
 空中投下も試みられたが、米軍戦闘機の妨害でうまく行かなかった。
 そこで田中少将は“東京急行”の補給所要時間を短くする工夫をやってみた。
 彼は駆逐艦に補給物資を入れたドラム罐をロープでビーズのようにつなぎあわせて積みこんだ。
 タサファロンガ沖に着くと、駆逐艦はこの“首飾り”を海に投げおろし、海岸で待っていた陸兵たちが引っぱりあげる算段である。
 この方法だと駆逐艦ヘンダーソン飛行場の強力な爆撃機に狙われる時間は最小限に減らせるわけだった。
 だが実際にやってみるとこの名案もすらすらといかなかった。 
 最良の夜でも、ばらばらのドラム罐を一五〇〇個投げ落して、岸に着いたのは三〇〇にすぎなかった。