●「続・知られざる日豪関係」(896)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 彼らはその島で多数のポリネシア人の娘たちを見つけたが、日本人は見当らなかったので拠点はすぐに閉鎖された。
 彼はその代りに別の拠点をガダルカナルから北へ約三〇〇マイル離れたオントンジャバ島におこうと決心した。
 この平らなサンゴの環礁はトラック島にある日本軍の大根拠地から南下してくる艦隊を監視するには理想的な場所と思われたが、欠点はあまりにも露出していることだった。
 環礁を形成している小島は、どれも二、三フィートの高さと二、三〇〇ヤードの幅しかなく、文字通り隠れる場所がなかった。
 このような戦略的要点で攻撃を受けやすい場所に送られたのはウィリアム・マッカスカーという予備少尉で戦前には一度も南太平洋を訪れた経験がなかった。

 ●「続・知られざる日豪関係」(895)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 この作戦の教訓は明白だった。
 間に合わせの手段では役に立たない。
 ムンダのように日本軍が無理なく活用できる近さの航空基地が必要だった。
 このようにして、日本軍はその関心をソロモン群島の他の島々へ移すことになる。
 彼らは食糧、資材の集積場と昼間に舟艇を隠しておく場所を必要としたので、各所に中継用の前哨基地を建設しはじめた。
 KEN局では、ヒュー・マッケンジーがこうした動きに気づき、沿岸監視所の網をさらに広げる計画をたてる。
 早くも一一月一八日、彼はゴールドリッジの金鉱からアンディ・アンドレセンを引き抜き、アメリカ軍兵士を付けてガダルカナル南方のレンネル島へ派遣した。

 ●「続・知られざる日豪関係」(894)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 そのころ北西三〇〇マイルの場所で戦局は大きく動こうとしていた。
 南ブーゲンビル、チョイセル、ベララベラの監視員たちは、ショートランドとガダルカナルの間を往復する“東京急行”がスロットを下りはじめたのを、先を争って報告していた。
 こうした通信は目視した時から五分以内にKEN局に届き、次の五分以内に航空司令部に届くのが珍しくなかった。
 時間の遅れが最小限まで省略されたことで、カクタス航空隊は夕闇が駆逐艦を隠してしまう前に強打をあびせられるようになってきた。
 “東京急行”の失敗が増加したので、山本提督は補給の流れを確保するため絶望的な手段に訴えるほかなくなった。

 ●「続・知られざる日豪関係」(895)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 潜水艦でやってみたが、輸送量はわずかにとどまった上、危険が大きすぎた。
 空中投下も試みられたが、米軍戦闘機の妨害でうまく行かなかった。
 そこで田中少将は“東京急行”の補給所要時間を短くする工夫をやってみた。
 彼は駆逐艦に補給物資を入れたドラム罐をロープでビーズのようにつなぎあわせて積みこんだ。
 タサファロンガ沖に着くと、駆逐艦はこの“首飾り”を海に投げおろし、海岸で待っていた陸兵たちが引っぱりあげる算段である。
 この方法だと駆逐艦ヘンダーソン飛行場の強力な爆撃機に狙われる時間は最小限に減らせるわけだった。
 だが実際にやってみるとこの名案もすらすらといかなかった。 
 最良の夜でも、ばらばらのドラム罐を一五〇〇個投げ落して、岸に着いたのは三〇〇にすぎなかった。

 ●「続・知られざる日豪関係」(894)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 そのころ北西三〇〇マイルの場所で戦局は大きく動こうとしていた。
 南ブーゲンビル、チョイセル、ベララベラの監視員たちは、ショートランドとガダルカナルの間を往復する“東京急行”がスロットを下りはじめたのを、先を争って報告していた。
 こうした通信は目視した時から五分以内にKEN局に届き、次の五分以内に航空司令部に届くのが珍しくなかった。
 時間の遅れが最小限まで省略されたことで、カクタス航空隊は夕闇が駆逐艦を隠してしまう前に強打をあびせられるようになってきた。
 “東京急行”の失敗が増加したので、山本提督は補給の流れを確保するため絶望的な手段に訴えるほかなくなった。

 ●「続・知られざる日豪関係」(893)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 彼が着いた時はちょうど陸軍が海兵隊と交代した時で、パッチ少将はすぐに神父が気に入った。
 一二月五日クラークはタンガラレに帰ることになったので十分な食料品、ライフル、弾薬、手榴弾一箱、それにある海兵隊員が出発時にゆずってくれたアメリカ軍の制服一揃いを調達した。
 アメリカ軍が着実にガダルカナルでの地歩をを固め、拡大していくにつれてゴールドリッジの監視所は重要性を失っていった。
 ドン・マクファランは一〇月に監視所管理のためケン・ヘイを残して解放された。
 一二月七日には、老修女のエドメイを平地へおろしても大丈夫だということになった。
 彼女はルアバツの虐殺以来そこに放置されていたのである。
 ヘイ自身は「死にそうに退屈だ」とぼやきならなお一カ月以上も動かなかった。

 ●「続・知られざる日豪関係」(893)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 彼が着いた時はちょうど陸軍が海兵隊と交代した時で、パッチ少将はすぐに神父が気に入った。
 一二月五日クラークはタンガラレに帰ることになったので十分な食料品、ライフル、弾薬、手榴弾一箱、それにある海兵隊員が出発時にゆずってくれたアメリカ軍の制服一揃いを調達した。
 アメリカ軍が着実にガダルカナルでの地歩をを固め、拡大していくにつれてゴールドリッジの監視所は重要性を失っていった。
 ドン・マクファランは一〇月に監視所管理のためケン・ヘイを残して解放された。
 一二月七日には、老修女のエドメイを平地へおろしても大丈夫だということになった。
 彼女はルアバツの虐殺以来そこに放置されていたのである。
 ヘイ自身は「死にそうに退屈だ」とぼやきならなお一カ月以上も動かなかった。