2008-01-01から1年間の記事一覧
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き その代りに彼はクレメンズに、 「われわれは君のいう通りもう二、三日がんばろう・・・・・われわれは信念を持たなければならないと思います」と書いた。 …
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 「われわれはみな希望を糧として生きています」と彼は七月二八日クレメンズにあてて書いた。 「週末までに何も起こらなかったら、わたしは脱走するつもり…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 木の葉の”ベランダ”を足してローズと二人の人夫と、全財産を置くだけのスペースができた。 いつもの習慣で、無線機を離れた場所 ── この場合は一マイル離…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き ある日彼がヒラボ川上流の葉ぶき小屋にいたところ、ルンガ飛行場で働いていた現住民が一人訪ねてきた。 その男は日本軍司令官からの伝言として、ローズの…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 部下の一人が見かねて郵便袋でサンダルをつくってくれた。 その日の午後おそく、彼らはブチコロというたった四戸の集落に通じるほとんど垂直な岩を登った…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 彼らは事務所をこわし、ランジェビアの畑を掘り返して、芋を持ち去った。 ランジェビア自身はきびしく尋問されたが、半ズボンだけの姿だったので、何とか…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 「なにか大計画が進行しているようだ」とマクファランは一九日にクレメンズにあてて嬉しそうな手紙を書いた。 そして二一日には彼は重ねて書いた。 「ほん…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 一五日、マクファランはタウンズビルのフェルトに、この苦境を詳しく訴える電報を打った。 ところが打ち返されてきた返事は、景気はよいが意味不明瞭な内…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 現住民は決して温かくは迎えなかった。 村民の大半は丘陵地帯に姿をかくし、キャンプで働くのも食物を提供するのも拒んだ。 自分たちは何年も税金を払って…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 夜が明けると急いで出発し、暗い谷を降り、ジョナパウ山の頂上に向って登り、再び降りてその背後の谷へ入った。 骨の折れる行程で、とくに肥大漢のケン・…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き だが忙しかったのはマクファラン隊だけで、残りの者たちは危険にとり囲まれながらしゃべったり、酒を飲んだり、狩に出たり、射的に興じ、クレメンズが提…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 日本軍がルンガ平地に上陸したとき、キャンベルはクレメンズに、 「困った事件だ。健康にも悪いし、金鉱掘りにも差し支える」とこぼした手紙を書いてきた…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き それでもマクファランはためらっていたが、クレメンズと相談して後退移動の準備にかかる。 ゴールドリッジは露出していた上に、三人の新来者が避難してき…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 甲板には四〇人ばかりの兵士と、例のどこにでも現われる石本が見えた。 船が一〇〇ヤードまで接近したときには息もつまる感じだった。 見つかったらおしま…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 七月九日、彼はいよいよ移動することを決意した。 夜の間に、二四人の人夫をつれた一行が米とベンジン、灯油と無線機を島の西岸に運んだ。 そこであらかじ…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き クレメンズは島を離れることを考えはじめた。 南海岸にはボートを二隻隠してあり、そこまでなら行けるだろうと思われた。 同じ日に彼はゴールドリッジに打…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 見たところエジンバラ城のように安全で、海岸の眺めは抜群だった。 ここを次の拠点にしようとクレメンズは決心した。 しかし全般の見通しは決して明るくな…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 大金庫や役所の記録類は丘の斜面に掘ったトンネルの中に隠した。 一行は道案内の偵察員二人と一二人の人夫、コックのマイクに助手、それに自らしんがりに…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 部下のケン・ヘイはスージーという名の雑種の雌犬を飼っていたが、その糞をゴールドリッジに通じる道にまいておけば、どんなブラッドハウンド犬もそのにお…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 部下のケン・ヘイはスージーという名の雑種の雌犬を飼っていたが、その糞をゴールドリッジに通じる道にまいておけば、どんなブラッドハウンド犬もそのにお…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き またこんなこともあった。 マクファランの偵察員の一人が日本軍将校に話しかけられた。 石本ではなかったが、やはり英語の上手な将校だった。 偵察員は聞…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き そこでピュールは英語が話せないことを分らせようと試み、煙草をくれという身振りをした。 しかし、「おまえはうそつきだ」と石本は冷たく言った。 少し前…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き クレメンズの部下のドヴは人夫になって、海岸から滑走路用地まで物資を運んだが、運んだもののすべてについてメモをつけていた。 何度目かの労役召集でピ…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き ツラギの通訳兼ガイドの石本は、今はガダルカナルに来ていて住民民政担当官とも言うべき地位について現住民たちに命令を発し監督するのが役割だった。 だ…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き フィジー人の留守番ケレメンデはあちこちによい情報源を持っていたし、主としてクレメンズが配属した現住民の巡査たちはいずれも大胆で勇気に満ちていた。…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 彼は島に住む全監視員のよき調停役であろうとして、最悪の条件下でも無線機がよく動くよう細心の注意を払っていた。 その結果ローズやクレメンズの無線機…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き どんな種類の商品でも取引に応じ、逃亡中国商人と商売仲間になり、そのうち、流行の金鉱探しにもまきこまれたというわけであった。 彼はまたあのエレクト…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き マクファランとヘイは、金鉱会社のヨーロッパ人マネージャーの事務所として建てられた五寝室付きの快適な家でくつろいでいた。 この会社は尾根の上とソル…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 二つの設営隊も上陸し、四〇〇人の兵士が護衛についた。 監視員たちは正確な内状は自ら確かめられなかったが、現住民の偵察員が代わりに何が起こっている…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き しかし七月六日になって疑問は氷解した。 その朝一二隻からなる日本の艦船がスロットを下って来て謎の波止場に停泊した。 駆逐艦が警戒している間に輸送船…