2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知らざる日豪関係」(63)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「まずポート・ダーウィン奇襲攻撃が行われたのは一九四二年二月十九日。 攻撃は飛行機隊による空襲のみで、艦艇による艦砲射撃などはまったく行われていない。 空襲は第一次…

 ●「続・知らざる日豪関係」(62)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「二、三日で資料に目をとおすことはできた。 直接南忠男に関係すると思われるものは残念ながら一つも見つからなかったが、もし南がこのダーウィン爆撃に参加した飛行機隊の…

 ●「続・知らざる日豪関係」(61)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「むろん一日で終わるはずはなく、調べはじめてから何日間か、私はこのハチの巣のカプセルに通わなくてはならなかった。 ダーウィン爆撃の資料は、ほとんど時間の経過に沿っ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(60)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ダーウィン爆撃に関する資料は、膨大な量である。 もちろんすべて一九四二年当時そのままの資料で、フールスキャップサイズ(英国系の国で使われていた縦長の大型罫紙)の…

 ●「続・知らざる日豪関係」(59)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「戦争記念館資料室は、そうした全オーストラリア公文書保管室の、いわば目録をまとめたカード・ケースのような機能を持っているのである。 フォーガティー氏に教えられたと…

 ●「続・知らざる日豪関係」(58)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そろそろ、映画『野麦峠』を製作された故・持丸寛二氏と、初の日豪合作映画『南十字星』を実現させた話(日豪合作にこぎ着けるまでには、わたし自身も、かなりかかわった …

 ●「続・知らざる日豪関係」(57)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「一番揃っているのはキャンベラの公文書保管室のはずだから、まずそっちへ行って調べてみて下さい。 その間にこの資料室にあるものを、私が捜しておきましょう』 と積極的に…

 ●「続・知らざる日豪関係」(56)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南忠男の捕虜番号を調べるときに世話になった担当オフィサー、ビル・フォーガティー氏のところへ行くと、私はあらためて来室の理由と、調査全体の目的を説明した。 フォー…

 ●「続・知らざる日豪関係」(55)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「再度私はキャンベラへもどり、戦争記念館の資料室へ行った。 資料室を訪れる人々は少なくない。 とくに日本軍関係の資料は、歴史家はもちろん政治学、心理学、日本学(JAPA…

 ●「続・知らざる日豪関係」(54)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「街の書店には、「オーストラリアの最も暗い日」、「1942ダーウィン」、「オーストラリアン・パール・ハーバー」などの本が並び、毎年二月十九日には、全国、地方の各新…

 ●「続・知らざる日豪関係」(53)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ところがその安全地帯オーストラリアを、ある日突然攻撃したのは、思いもよらぬはるか遠方からやって来た日本軍だった。 結果は「真珠湾」の再現である。 連合軍にとって、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(52)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「つまり一九四二年二月二十四日というのは、まだ日本軍が勝利に次ぐ勝利に酔いながら、破竹の勢いで南下していた時期である。 この二月という日付けと、南逮捕のダーウィン…

 ●「続・知らざる日豪関係」(51)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「この頃から軍人の捕虜が続々と増えてゆくのだが、それまでは前述の軍属五名と、南忠男のみだった。 大戦当時、日本軍将兵捕虜は逮捕時の訊問に対し、氏名階級はもちろん、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(50)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「捕虜番号PWJA 110、001のかれが第一号であるから、その前には少なくともオーストラリア本土で捕虜となった者は誰もいない。 これに続く『110、002』から『110、0…

 ●「続・知らざる日豪関係」(49)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南は突撃ラッパを吹きながら、死に向って突っ走り、そして自らの生命を絶った。 これ以上の『移動』は、かれにはなかったのである。 移動記録欄に残ったわずかな空白が、ラ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(48)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「戦争初期に逮捕され、ラヴデイ、ヘイ、カウラなどの収容所における捕虜生活が長かったためである。 そして裏面の移動記録欄の最後の行には、『胸部銃創、のち刺創。死亡、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(47)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「英式(または豪式)のランキングシステムを、そのまま旧日本軍に置き換えるのはちょっと無理があるが、いずれにせよ『下士官』だったということだろう。 南の生年月日は一…

 ●「続・知らざる日豪関係」(46)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『DATE OF CAPTURE』、すなわち南忠男逮捕の日付けは、一九四二年二月二十四日、逮捕の場所はオーストラリア本土中央北部ノーザン・テリトリー準州(当時はまだ準州には昇…

 ●「続・知らざる日豪関係」(45)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかし、ようやく南忠男の捕虜名簿は見つかった。 オーストラリア軍により逮捕された日本軍捕虜、それもオーストラリア本土における捕虜第一号として、かれは登録されてい…

 ●「続・知らざる日豪関係」(44)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「完全な番号順にファイルされていると思っていたのだが、そうではなく、全体がいくつかのグループに分類されていた。 それぞれのグループの名簿を照らし合わせてみると、ど…

 ●「続・知らざる日豪関係」(43)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ギシギシときしむ廊下を通って庭に面した閲覧室に入り、係員に用件を伝えて待っていると、やがて箱詰めやファイルの山がワゴンに積まれて運ばれてきた。 なるほど、これな…

 ●「続・知らざる日豪関係」(42)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「もしかしたら、と思ってはいたものの、この説明を読み終わったとき、私はあらためて驚かされた。 南忠男という男は、収容所の中で目立っていただけでなく、その捕虜番号の…

 ●「続・知らざる日豪関係」(41)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(『A』は、軍隊を示すARMED-FORCESの頭文字かと思われるが、『M』の意味は不明) 次にアルファベットに続く六桁の数字のうち、最初の二桁は、捕虜あるいは抑留者が所属す…

 ●「続・知らざる日豪関係」(40)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「数日後、陸軍局戦史部のマクウィリアム大尉というオフィサーから、手紙が届いた。 オーストラリア陸軍の紋章の入った便箋には、私の問い合わせに対する説明が、ぎっしりと…

 ●「続・知らざる日豪関係」(39)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「せいぜい枢軸側の捕虜総数でも一万人以下である。 三つも続く『0』や、末尾の数字『1』とは何を示しているのだろう。 捕虜となった第一号という意味なのだろうか。 私は…

 ●「続・知らざる日豪関係」(38)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「三十数年の歳月を経るうちにタイプのインクも褪せてしまったのか、文字が薄くぼやけて読みづらいが、間違いなく『MINAMI TADAO』と書いてある。 ずらりと並んだアルファベ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(37)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ガラス張りの小さな閲覧室で待っていると、やがて係員が古い資料の束や、箱詰めのファイルを、机の上に届けてくれた。 早速目をとおしてみると、それらはオーストラリア陸…

 ●「続・知らざる日豪関係」(36)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 こうして、「南忠男が死に至るまでの過程を追い求める」中野さんの「長い旅」は始まる。 正に、「血のにじむような努力」を重ねられて、突撃ラッパを吹いた 南忠男一等航空兵…

 ●「続・知らざる日豪関係」(35)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南忠男の場合はどうだったのだろう。 なぜかれは捕虜となり、『生きのびてしまった』のか。 そして、脱走を試みるという『生』へのベクトルを持ちながら、なぜ、集団暴動の…

 ●「続・知らざる日豪関係」(34)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「日本軍の飛行機隊は攻撃に際し、『生還を期して戦果は期待できず』としていたというエピソードを、過去に何度か聞いたことがある。 だが、本当に生還を期さなかったのだろ…