2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知らざる日豪関係」(216)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「暴動勃発のとき、『デテクルテキハー ミナミナコロセー』と南の吹く突撃ラッパを聞いても、湧き起った怒号を聞いても、将校たちは日本兵の『異常事態』には気づいたであろ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(215)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「歩哨の立つBコンパウンド入口跡でこれだから、もっと離れたらまず解読は無理だし、軍隊で使う大きな手旗でも困難だっただろう。 さらに両者の間には、身長より高い柵がいく…

 ●「続・知らざる日豪関係」(214)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「コンパウンド入口には二十四時間歩哨が立っているし、ブロードウェイ南側ゲートには監視塔があり、やはり監視兵が常駐しているのだ。 手旗のみならず、道具を使うような連…

 ●「続・知らざる日豪関係」(213)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「また、普段から相互の連絡がとれたかどうかを調べるために、私はBコンパウンドと将校キャンプの、最も近いところを巻尺で計ってみた。 Bコンパウンドではブロードウェイと…

 ●「続・知らざる日豪関係」(212)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南が出撃合図のラッパを吹いたときから、最初の捕虜が将校キャンプ・ゲートにたどりつくまで、これだけの時間がかかっているのだ。 しかもこれは当時の日本兵よりもはるか…

 ●「続・知らざる日豪関係」(211)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「S君の走った距離は、日本兵捕虜の走った距離とほとんど変らないだろう。 しかし忘れてならないのは柵である。 高さ約二メートルの鉄条網やコイル状有刺鉄線の山を越えなく…

 ●「続・知らざる日豪関係」(210)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「これが、暴動の際、兵、下士官捕虜が将校キャンプにたどりつく最も近い道のりのはずだ。 次にこの順序に従って、S君に走ってみてもらった。 収容所跡地は全体としてカウラ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(209)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「どこがハットの出入口であったかわからないが、柵側に出口があったとすれば、最も近いところで五二メートル、反対側にあったならばハットのわきを大きく回るので九八メート…

 ●「続・知らざる日豪関係」(208)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「復元図ができ上がると、私はオーストラリア人の友人S君をともなって、また六時間の道を車でカウラへと向った。 すでにこれで二十数回目のカウラ行だったが、他人と、それも…

 ●「続・知らざる日豪関係」(207)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「高空低空と繰り返し旋回し、さまざまな角度から写真撮影をしたのち、ふたたび私はシドニーへ帰った。 そして暗室に閉じこもると、すぐにフィルムを現像し、大きく引き伸ば…

 ●「続・知らざる日豪関係」(206)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私はチャート図と照合してみた。 しかしそんなものは出ているはずもない。 なんだろうと思いながらさらに高度を下げて収容所平面図と見くらべたとき、まさか、と信じられな…

 ●「続・知らざる日豪関係」(205)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「守備隊兵舎跡や病棟跡などは、まだコンクリートの土台が残っているのですぐにわかるが、木造ハットなどの位置はあとかたもないためにつかみにくい。 しかし上空で何回か旋…

 ●「続・知らざる日豪関係」(204)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「その日は快晴で、気持ちの良い日だった。 町の南西の郊外にある飛行場からセスナ機で飛び立ち、陽光の中を北東へすすむと、やがて広大な芝生のような、収容所跡の牧草地が…

 ●「続・知らざる日豪関係」(203)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「となると、本当は将校たちは、はじめから計画など知らなかったことになる。 さらに突きつめて考えてみると、Bコンパウンドと将校キャンプとの間で、手旗信号や暗号などで連…

 ●「続・知らざる日豪関係」(202)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかもあのだだっ広い草原に響いたラッパの音は、『デテクルテキハー ミナコロセー、デテクルテキハー ミナコロセー」という、簡単明瞭なものだ。 計画があったとするなら…

 ●「続・知らざる日豪関係」(201)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「その出撃合図のラッパで走り出した捕虜たちが、ブロードウェイの柵まで、そして柵を乗り越えてブロードウェイを走り日本軍将校キャンプの中に入るまで、いったいどのくらい…

 ●「続・知らざる日豪関係」(200)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかしこう考えてみたものの、どうも腑におちない点がいくつかある。 暴動で南が突撃ラッパを吹いたのは、午前二時である。 吹いた場所はどこか定かでないが、森木氏はこの…

 ●「続・知らざる日豪関係」(199)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ところが急に移動通達を受けて、『時機到来』と判断した南は暴動を決定したが、Dコンパウンドの将校らに、『暴動が開始されるまでの間に連絡を取り合う機会はなかった』た…

 ●「続・知らざる日豪関係」(198)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「まずBコンパウンドで決起し、それが将校を解放し、合流する予定になっていたのではないかと思っていた。 だが『偽名戦士の墓』にある及川少尉の報告を読んでからもう一度こ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(197)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「4、日本軍将校らはオーストラリア軍軍法会議に関し正確に考察した知識を持ち、宣告され得る刑罰に対し何ら恐れてはいないことを示す証拠文書がある。すなわち、生命に危険…

 ●「続・知らざる日豪関係」(196)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして、将校らの態度について情報部は次のように判断した。 1、日本軍将校らが集団脱走計画を知っていたことは確実であるが、その決行の日は知らず、おそらく兵から将校…

 ●「続・知らざる日豪関係」(195)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「だからこそ南も戦場と同様の『突撃ラッパ』を吹いたはずだ。 だが、ちょっと思い出していただきたい。 私が入手した公文書『事件経過報告書』の中では、暴動でブロードウェ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(194)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「以上が及川晃少尉と名乗る士官の援護局における報告をもとにした記事の抜粋だが、一読してわかるように、暴動の計画も目的も、私が公文書で調べたものや生還者の話を集めた…

 ●「続・知らざる日豪関係」(193)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「及川少尉の陳述は、事実だけを粉飾もなく物語る。 それだけにかえって、私には生々しく感ぜられたのを覚えている。(中略) 私は、及川少尉から死者の名簿を受けとって、一…

 ●「続・知らざる日豪関係」(192)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「一言でいえば、最後の自殺的戦闘である。(中略) [東西両門ニ進マントシタルニ両隊トモニ、重畳セルバリケードト、準備シアリシ銃火ニ阻マレテ停止ス。 不運ノ兵は悲痛ナ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(191)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「及川少尉ら帰還者が援護局に現われたのは,昭和二十一年(一九四六年)四月三日だったという。 以下その少尉からの報告が続く。 『及川少尉の報告書には、そのキッカケがこ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(190)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「もう一つの『文芸春秋』の抜粋は、昭和三十八年(一九六三年)三月号に掲載された、『偽名戦死の墓』という十一頁の記事で、カウラ収容所の事件と、これも似たような事件が…

 ●「続・知らざる日豪関係」(189)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「松本氏は南同様、ブロードウェイに脱出し南側へ向う集団の中にいた。 しかし心臓が悪かったというかれは、集団の中でもやや後方にいた。 松本氏の目撃したところによると、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(188)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『眞近にかけ出す足音がはっきり聞え、静寂の中に鳴り渡ったのは突撃ラッパの響きであった。 一瞬、忘れていたものをいきなり眼の前に突きつけられた様にたじろいだが、ど…

 ●「続・知らざる日豪関係」(187)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『徐々にふくれ上がって行くキャンプの主導権は従来海軍出が握り、反抗的な指導方針で一切の外部作業を拒否し、内には融和と團決を計り身體を絶えず運動、農園等の内部作業…