●「続・知られざる日豪関係」(896)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
  “東京急行”を撃滅せよ 


 彼らはその島で多数のポリネシア人の娘たちを見つけたが、日本人は見当らなかったので拠点はすぐに閉鎖された。
 彼はその代りに別の拠点をガダルカナルから北へ約三〇〇マイル離れたオントンジャバ島におこうと決心した。
 この平らなサンゴの環礁はトラック島にある日本軍の大根拠地から南下してくる艦隊を監視するには理想的な場所と思われたが、欠点はあまりにも露出していることだった。
 環礁を形成している小島は、どれも二、三フィートの高さと二、三〇〇ヤードの幅しかなく、文字通り隠れる場所がなかった。
 このような戦略的要点で攻撃を受けやすい場所に送られたのはウィリアム・マッカスカーという予備少尉で戦前には一度も南太平洋を訪れた経験がなかった。