2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

  ある講演から(15)

ところが、期待に反して?、車は滞ることなく整然と流れているんですね。 「運転者から見て、右側の車に優先的に交差点を渡る権利があるはず」なのですが、相手の道路の方が込んでいると判断すると自主的に車を止め、渋滞の激しい通りのドライバーに向かって…

  ある講演から(14)

▲ルールにも譲り合いの精神が▲ ところで、交通量が多いのに、信号のない交差点で、しかも交通整理をする警察官がいなかったとしたら、日本では、果たして車はうまく流れるでしょうか。 メルボルンのあるヴィクトリア州の道路交通法によりますと、「交差点で…

  ある講演から(13)

言い換えれば、オーストラリアは、それほどルールに厳しい社会なのです。 日本人のある知人が、横断歩道を渡っている途中で信号が赤に変わり、車に跳ねてられて、不幸にも亡くなるという事故がありました。 日本では、こんな場合、「ドライバーの前方不注意…

  ある講演から(12)

「規則を破って、水道の水を直接庭にまくと、他人の持つ権利を侵すことになる。 つまり、みんなの共有である水を、特定の個人が勝手に使うことは許されない。 そういう行為は、厳しく非難されるべきだ」。 彼は、ていねいに、こう説明してくれました。 正直…

  ある講演から(11)

ところが、彼は、 「とんでもない! 規則は、きちんと守らなければなりません! 水道の水を直接まいているところを隣の人に見られたら、たちまち告発されてしまいます」と答えました。 これが日本だったら、隣の人を訴えたりすると、その後のつきあいがまず…

  ある講演から(10)

実はこの年は、メルボルンだけでなく、オーストラリアの各地が干ばつに見舞われ、その影響はかなりの範囲に及んだのです。 メルボルンの水がめであるダムの貯水量は日に日に減って行き、そこで「給水制限」の措置が取られたわけです。 早速、各家庭に通達が…

  ある講演から(9)

どの国でも、決められたルールをきちんと守るのは当然のことです。 オーストラリアのある友人が、メルボルンの郊外に、日本円にして7〜800万円の家を買いました。 広い庭のついた新築の家ですから、「庭の手入れが大変だ」と、よくぼやいていました。 郊…

  ある講演から(8)

ここで、私が困ったことがあります。 どうやら、「到着した順番に買うらしい」とわかったものの、私は、「いったい誰の次に、この売店に来たのか」知らないことに気づいたのです。 何しろ、外国人ばかりですから、どの顔も同じように見えます。 仕方なしに、…

  ある講演から(7)

ところが、店員さんは、私をまったく無視して、 「次の方、どうぞ」と言うのです。 すると、どこからかお客さんが一人前に出て、レモネードなどの飲み物を買う。 この繰り返しなんですね。 列こそ出来てはいないものの、「順番」はきちんと決まっていたので…

  ある講演から(6)

オーストラリアは、日本の21倍の面積があるというのに、人口は東京より少し多い1、300万人ほどですから、当然労働力が不足して、この広い売店にも、たった一人の女性店員しかいないんですね。 ところが、この売店の前に陣取っているお客たちは列を作っ…

  ある講演から(5)

▲行列がなくても順番が決まっている▲ 私たちがメルボルンに着いたのは、真夏の2月です。 ご存じのように、北半球と南半球とでは、気候がまったく逆なんです。 当時は、東京からシドニーまでは17時間もかかりました。今では、ノン・ストップで9時間半で行…

  ある講演から(4)

「あまりなじみのない国」と思われがちですが、実は日本は、この国から牛肉や羊毛、鉄鉱石などを大量に輸入していて、経済的には大変密接な結びつきのある国なんです。 よい友人に恵まれたこともあって、私はオーストラリアの人たちと徹底的におつきあいしま…

  ある講演から(3)

お店で買い物をして、店員さんに、 「ありがとう」と言いますと、やはりけげんそうな表情をされるんですね。 あるいは、私が「違う人種」のように思われたのかもしれません。 今の東京には、「青い空」も「ありがとう」もない。 あるのは、ギスギスした人間…

  ある講演から(2)

お住まいも、大変広いと聞きました。 広い家に住むというのは、心にゆとりが持てる、つまり、精神的な余裕ができることだと思います。 ここにお邪魔して驚いたのは、「ありがとう」という言葉をたびたび耳にしたことです。これには、感激しました。 オースト…

  ある講演から(1)

「オーストラリアが珍しい時代」だったので、しばしば講演を頼まれた。 手元に、石川県立社会教育センター主催の「県民講座」でお話した内容を要約してくださったものがあるので、紹介させていただく(以下)。 海外事情〜オーストラリアという国〜 ▲牛肉、…

  まとめ(5)

私の「30年前の話」は、“嘘のように”思われたことだろう。 帰国後、各地から招かれて、オーストラリアについて100回以上もお話しした。 中には、こんな面白い依頼電話? もあった。 確か、どこかの高等学校からだったと記憶している。 「ヨーロッパのオ…

  ● まとめ(4)

「ケンは、これまでビジネスでつき合った日本人たちと違って、私たちの中にどんどん入り込んできた。 だが、彼も、いつかは閉鎖的な日本人社会へ戻ってしまうに違いないと思っていたが、彼はずっと私の親友でいてくれた。 私たちとの仲間意識は、彼が帰国し…

  まとめ(3)

私は、オーストラリアのことを「豪州」と呼ぶのは好きではない。 何となく、第2次世界大戦に結びついてしまうからだ。 「豪州」の文字を目にすると、私は、荒漠たる砂漠地帯に今なお眠っていると言われる旧日本軍の飛行機の残骸の話を思い出してしまう。 こ…

  まとめ(2)

「あまりにも違うこと」がたくさんあり過ぎた。 そこで、私は、胸のポケットにいつも紙を用意して、感心したことや奇妙に感じたこと、戸惑ったことなどをそのつどメモしておいた・・・。 メルボルンを去る日が近づいて、メモはかなりの量となり、ノートに整…

  まとめ(1)

私は、もともと好奇心の強い人間だ。 一度、興味を抱くに値するものに出合ったら、とことん追いかけてみたくなる性格のようだ。 初めての外国滞在は、当初は、「夢の中の出来事」のように思われた。 「この国の人々の髪の毛は、どうして黒くないのだろうか?…

  対日本観(18)

とにかく、砂漠地帯を走る横断列車の車窓から目にしたのは、「日の出から日没まで」“まったく同じ景色”だった。 小石の混じった地域にほんの申し訳程度のブッシュが生えたところもあったが、あとはどこへ行っても、見える風景に変化はない。 私は、オースト…

  対日本観(17)

オーストラリアでは、さまざまな日本製品がはんらんし、驚くほど旧式な日本車が幅を利かせている。 逆に、日本は、鉄鉱石を始め、原料炭や牛肉、羊毛、砂糖など、必要とする量の半分近くをオーストラリアから輸入している。 だから、両国の経済的な結びつき…

  対日本観(16)

「確かに、日豪関係には見逃すことのできない実績はありますが、まだ重大な要素が不足しています。 私たちは、お互いによい貿易相手国である上、信頼できる仲間ではありますが、『完璧な友人である』と、きっぱり言い切ることはできないと思います。 日本と…

  対日本観(15)

このたき火が原因で、ブッシュ・ファイアーが起きなかったのは幸いだった。 少しでも燃え広がっていたら、この著者は莫大な罰金を請求されて、旅など続けられなかったに違いない。 それにしても、緑の破壊に“麻痺”していると言われる日本人でも、宗教上の儀…

  対日本観(14)

「立ち木に火をつける」。言い換えれば「生きている木を焼く」ことは、普通の神経の持ち主なら出来るはずはない。 そのような愚行を、日本国内ではなく、はるばるオーストラリアまで出かけて犯すとは、しかも本にまで書くとは、開いた口がふさがらない。 緑…

  対日本観(13)

「オーストラリアを旅した」ある日本人の書いた本の一説である。 この人は、ウインチを使ってユーカリの木を根元近くから何本も折り倒して燃やしたという。 彼は、こうも書いている。 「ユーカリは油性分が多いからよく燃える」。 立ち木の根元に直接火をつ…

  対日本観(12)

外貨稼ぎのチャンピオンも、重大なウイーク・ポイントを持っているようだ。 これは、何も羊毛に限ったことではない。 牛肉でも、日本人の口に合うようにと、わざわざ“霜降り肉”を生産している農家もあるというのに、日本側の一方的な家庭の事情で、すぐに輸…

  対日本観(11)

例年だと30パーセント前後というから、いかに大量に買いあさったか、分かろうというものだ。 だが、久しぶりに取り戻した牧羊業者の笑顔は、そう長くは続かなかった。 一転して、下落へ・・・。 言うまでもなく、“買いあさりの反動”だった。 その後は、下…

  対日本観(10)

「古くからのお客である彼らをないがしろにして、果たして、いいものだろうか。 高値を喜んでばかりはいられない。ヨーロッパのバイヤーを、もっと大切にしなければならない。 それにしても、こんな“バカ高い”羊毛で作った洋服を、日本では一体どんな人間が…

  対日本観(9)

世界的に羊毛不況が伝えられる中で、1973年はオーストラリアの牧羊農家にとって、喜ぶべき一年の幕開けとなった。 倒産と転業が相次ぎ、政府から支給される補償金でかろうじて餓えをしのいでいた羊毛業界は、春にかけて、一気に好況に転じたのだ。 競り…