2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知らざる日豪関係」(155)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南の場合、私と同様にこの乾燥した冷い空気により扁桃腺炎にかなり悩まされていたのではないだろうか。 つまり扁桃腺炎で入院したのは最後の一回だけでなく、ほかの四回の…

 ●「続・知らざる日豪関係」(154)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私自身も扁桃腺を持病としてもっており、オーストラリア滞在中に二回も病院の世話になったが、いずれも八月と九月だった。 この国の内陸部、ことに草原や砂漠地帯は独特の…

 ●「続・知らざる日豪関係」(153)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ニューギニア方面で捕虜となった者ならば、マラリアの後遺症や、栄養失調からくる体力の衰弱などで、体に変調をきたしていたということも考えられるが、搭乗機墜落後わずか…

 ●「続・知らざる日豪関係」(152)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(中略)これらの移動記録でわかるように、南もカキモト(注:南よりもあとだが、比較的早い時期に捕虜となった軍人)も、また五人の軍属も、みなヘイ収容所で合流して数カ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(151)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「退院してから、かれの捕虜としての収容所生活が正式にはじまるのだが、これからが実に目まぐるしい。 かれの移送記録には、次のように記されている。 ○四二年三月二十三日 …

 ●「続・知らざる日豪関係」(150)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「第二章 赤い服の群れの中で ダーウィンで逮捕され、捕虜として登録されたのち、南はダーウィン市の南1〇〇キロほどのところにあるアデレイド・リヴァーの病院で、傷の手当…

 ●「続・知らざる日豪関係」(149)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「あっという間に海岸線を通過し、ひろびろとした海上に出る。 やがて離陸してから三十分後、フロント・スクリーンを通して、オーストラリア大陸の赤い大地が見えてきた。 高…

 ●「続・知らざる日豪関係」(148)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「もちろん1〇〇パーセントの断定はできないものの、この話を聞いたとき、私は心の中に散らばっていたいくつかの点が、急に距離をつめて一つの線になりつつあるような気持ち…

 ●「続・知らざる日豪関係」(147)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『かれの背中に、こういうふうに手をかけて私も送って行ったんですよ。 かれは目隠しをされていましたから。 ええ、オーバーオールの服を着ていたようです。 礼儀正しい人…

 ●「続・知らざる日豪関係」(146)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私は、南の右目と眉の間にあったという大きな傷が、森木氏が想像するように『飛行機で突っ込んだ瞬間できた傷』であったなら、このときはまだかなり生々しかったのでは、と…

 ●「続・知らざる日豪関係」(145)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(中略)ひと通り『日本軍』の話が出たところで、私は話題を変えて南忠男について尋ねた。 『その空襲のときに、零戦が一機撃墜されて、隣のメルヴィル島に落ちたんですが…

 ●「続・知らざる日豪関係」(144)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「有色人種が大量に流れ込めば、ただでさえ白豪主義の根強かった時代であるから、比較的人口の少ないサウス・オーストラリア州では、白人との間に摩擦を生じるであろうことは…

 ●「続・知らざる日豪関係」(143)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「平素は医療活動や物資運搬用などに使っていたというこの通信機を、ある日突然、非常緊急事態を知らせる目的に使うことになろうとは、かれらは思ってもみなかったことだろう…

 ●「続・知らざる日豪関係」(142)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「挨拶をして家の中に入れてもらうと、小ぎれいな風通しの良い部屋で、テーブルをはさんで私たちは話しはじめた。 かれは最初、あまり当時のことは話したくないのだろうか、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(141)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「キャンベラ公文書保管室で入手した『ダーウィン爆撃被害報告』には、たしかに『バサース島でアメリカ軍の輸送機が爆破された』とあった。 かれがいう小型輸送機とは、多分…

 ●「続・知らざる日豪関係」(140)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『ここにブラザー・パイという神父さんがいるんですが、戦前からこのミッションにいて、もちろんあの空襲の日もここにいたんですよ。 あのときはひどかったらしいですよ、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(139)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ふたたび私たちはトラックに乗り、ヤシの木々の間を縫うように走ると、アプスレー海峡に沿った道に出た。 眼前には鮮やかなコバルト・ブルーの、大きな河のようなアプスレ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(138)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「オールド・ジョニーは、死ぬまで『自分は見た』といっていたというが、やはりどうも信憑性には欠けるようである。 ただこの二つのエピソードのいずれにも共通しているのは…

 ●「続・知らざる日豪関係」(137)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「さらに増槽タンクは機体発見地点のタカプリミル・クリークから数百メートル(はっきりした数字は不明)のところで発見されているが、主を失った無人の飛行機が増槽タンクを…

 ●「続・知らざる日豪関係」(136)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「これはこの時期の大陸北西部特有の風で、潮が濁るために日本人潜水夫たちが採貝の休漁期に入るほど、期間の長い安定した風向きである。 したがってパラシュートで脱出した…

 ●「続・知らざる日豪関係」(135)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「たとえば航空機愛好家たちの多くが好んで蒐集する複葉機などは、非常に安定性に優れ、練習機としても重宝がられているが、あの複葉機などはかりに飛行中のパイロットが失神…

 ●「続・知らざる日豪関係」(134)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかし戦場で、それも敵領土内でのパラシュート脱出など、日本軍にあり得ただろうか。 前にも書いたが、これはほとんど考えられない。 それに公文書の『敵機被害』記録はじ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(133)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『ダーウィン空襲のあった当日、メルヴィル島のピカタラムーア(タカプリミル・クリーク付近の小さな地域)付近へ、日本兵がパラシュートで降下してきた。 かれはそこでパ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(132)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「この話は相当に深く、かれらアボリジニーたちの間にひろがっているらしく、話してくれた老人はもちろん、ほかの人たちも、みなまるで自分たちが当事者であったかのように、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(131)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして、このあとジャパニーはマティアスに促されるまま、抵抗することもなく沿岸警備隊の基地へ行き、そこで警備隊員によって逮捕された』 『ジャパニー』が二人に向って…

 ●「続・知らざる日豪関係」(130)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「かれは自分の方から歩いて来たのである。 しかもかれはアロイシャスの置き去りにした男の子を、胸に抱きかかえていた。 そして気が動転して、立ちつくしている二人に、 『…

 ●「続・知らざる日豪関係」(129)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(中略)そうして時間を過ごしていると、突然男の子の一人が泣きじゃくるのが聞こえ、なにげなくそちらを見ると、ブッシュの中からいかつい顔をした大柄のジャパニー(日本…

 ●「続・知らざる日豪関係」(128)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ところが、『ああ、あの日ね』と気軽な口調ではじめた老人の話は、そんな私の思いを簡単に吹き飛ばす、まさにずばり核心に触れるものだった。 そして老人がひとこと話すた…

 ●「続・知らざる日豪関係」(127)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(中略)このあと、中野さんは、自らセスナ機を操縦して、バサースト島のミッション『セント・テリーサス』の中心地に降り立ち、20人ほどのアボリジニー(オーストラリア…

 ●「続・知らざる日豪関係」(126)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それに、かりにハスレット氏が主張するように、南機は高射砲弾により被弾したとして、果たして推進力を失った飛行機が、ダーウィンからメルヴィル島まで到達できるのか、と…