2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知られざる日豪関係」(368)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「これまですでに将校と、兵、下士官のコンパウンドは分けられてはいたが、さらに遠く、相互連絡の絶対不可能な距離へと移し、またそれにより”首謀者となり得る兵、下士官”の…

 ●「続・知られざる日豪関係」(367)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「この移動がいつであったのか、公文書の記録からは見つからなかったので正確な日付けはわからないが、森本氏はじめ何人かの生還者たちに尋ねたところ、『秋』とのことだった…

 ●「続・知られざる日豪関係」(366)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「◎◎という項目を筆頭に、暴動発生に関するかなり具体的な可能性の分析が列記されている。 そして、いかなる計画も、適切かつ迅速に、状況次第では武力をもってでも処理され…

 ●「続・知られざる日豪関係」(365)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「以上がニュージーランド・フェザーストン捕虜収容所での日本兵捕虜暴動事件の背景と経過である。 これでわかるように、物理的な背景はともかく、捕虜たちの考え方にカウラ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(364)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「だが、これが捕虜たちを刺激したらしく、アダチは胸を叩いて、ここを撃てというように怒鳴り散らした。 そして副官が頭上へ威嚇射撃をしたことから事態は一気にエスカレー…

 ●「続・知られざる日豪関係」(363)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しばらくしたのち、ハットの中からニシムラという所内ではほとんど目立たぬ海軍中尉が話し合いのため出てきたが、すぐに排除され、その後ようやくアダチが姿をあらわしたも…

 ●「続・知られざる日豪関係」(362)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「発端は、日本人コンパウンドの下士官捕虜が、例によって作業班召集を拒否し、収容所側担当者とトラブルを生じたことだった。 現場に駆けつけた収容所副官は、まずアダチと…

 ●「続・知られざる日豪関係」(361)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「いずれも捕虜内部からの密告情報により発覚したものだったが、そうした中の一つに、日本軍人たるもの捕虜となった以上自決することこそが”道”である、そしてその自決を先導…

 ●「続・知られざる日豪関係」(360)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「捕虜集団は、朝鮮人と日本人の二つのコンパウンドにわけられており、所内生活で前者はまったく問題はなかったが、後者すなわち日本人捕虜は、入所当初から作業拒否やサボタ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(359)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「この、ある事件とはニュージーランド・フェザーストンにあった日本兵捕虜収容所で起きた暴動事件で、戦史研究家の間ではカウラ事件と並び日本人捕虜の特異性をあらわすも…

 ●「続・知られざる日豪関係」(358)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「連合軍が枢軸国を評した言葉に、『ドイツ人は銃を持って生まれてくる。 イタリア人はマンドリンを持って生まれてくる。 しかし日本人は何を持って生まれてくるかまったくわ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(357)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「クインズランド州地区からの十人、またはそれ以上とみられる捕虜グループは、その移動準備が完了次第、ニュー・サウス・ウェールズ州地区へ移送される。(中略) ニュー・…

 ●「続・知られざる日豪関係」(356)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私はカウラ事件をもう一度、さらに広い、そして長い期間の視点に立って調べなおしてみることにした。 まず、メルボルン、キャンベラのオーストラリア公文書保管室で入手し…

 ●「続・知られざる日豪関係」(355)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「まして南忠男の場合は、意図的な不時着からはじまって、脱走未遂を犯したり、受験生さながらの寸暇を惜しむ英語学習など、明らかに生への執着を持っていたと思われる行動を…

 ●「続・知られざる日豪関係」(354)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「たとえば暴動決行に至った動機は、兵、下士官の分離移動命令に対し、死をもって抗議する、そしてこれが虜囚としての汚名をすすぐ絶好の機会であった、と暴動当時の日本兵捕…

 ●「続・知られざる日豪関係」(353)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「いったいこの八百九十八日の間、南忠男は何を考えていたのだろうか。 そしてカウラ事件において、かれはその首謀者であったように思えるのだが、果たしてかれが実際に演じ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(352)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「自爆もせず、自決もせず、豊島は生きのびた。 そして南忠男という名前の捕虜となった。 だが、それから八百九十八日後、かれはカウラ事件を引き起こし、自決している。 な…

 ●「続・知られざる日豪関係」(351)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「まさか単冠湾『赤城』甲板での源田氏の言葉を、捕虜になってもいいから生きのびろという意味に、勝手に解釈していたとは思えない。 だが、考えられるのはただ一つ、かれに…

 ●「続・知られざる日豪関係」(350)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「その男気の強い豊島ならば、当然村中氏や小山氏、そして藤田氏らと同様に救助のことなど念頭になく、いざというときはいさぎよく自爆を考えていたに相違ないと思われるのだ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(349)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「豊島一自身はどうだっただろうか。小山氏はいう。 『【飛龍】の搭乗員室は、入口を開けて入ると左側にロッカーがあり、右側が寝るところになっていました。 手前から戦闘機…

 ●「続・知られざる日豪関係」(348)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『ハワイのときでも、ミッドウェイのときでも、助かるとか、助けられるとか、そんなことはまったく考えてはいませんでしたよ。 ミッドウェイのときなど、爆弾を積んでは何…

 ●「続・知られざる日豪関係」(347)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ただし、ダーウィンの爆撃では『蒼龍』艦爆隊の山田一飛曹、船崎二飛曹が、ブルームの空襲では宮尾中尉が被弾し、洋上に不時着水沈没しながらも水偵機により救助されている…

 ●「続・知られざる日豪関係」(346)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『たしかにそういう話はありました。 しかしあのあと私たちは蒼龍の士官室へ帰り、やはりいざというときはいさぎよくやろう、と話し合ったんです。 ”申し合わせ”ですね。 …

 ●「続・知られざる日豪関係」(345)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ならば飛行機隊の搭乗員たちは不時着などの緊急事態に際し、潜水艦または水偵機によリ救助されることを期待していたのだろうか。 そして『生還を期して戦果は期待できず』…

 ●「続・知られざる日豪関係」(344)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「”生還を期して戦果は期待できず”の観念がまかり通っていた海軍において、”自爆はするな”というのは非常に意味深長なる言葉である。 この言葉を豊島一は、どのように受けと…

 ●「続・知られざる日豪関係」(343)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「前述の元海上自衛隊三等海佐小山富雄氏は、豊島機、そして豊島一飛の『最期』を私に話してくれたあと、こんなエピソードを披露してくれた。 『われわれがハワイ作戦(真珠…

 ●「続・知られざる日豪関係」(342)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「こうして豊島機の被弾、滑空、不時着を、私なりに再現してみたが、これはあくまでぎりぎりの線での仮定に立ったものである。 高射砲弾を浴びた豊島機が、これ以上良い条件…

 ●「続・知られざる日豪関係」(341)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「この打電が、八時三十分である。 被弾した時間から数えて、十二、三分、長くとも十五分くらいだっただろう。 巡航速度から不時着に必要な気速一四〇ノットまで速度低下があ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(340)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ここでもしかして、北北西三百浬の洋上で待つ『飛龍』まで、持ちこたえようと思ったかもしれない。 しかし残り少ない燃料に、エンジンの馬力は急激に低下し、八時二十五分…

 ●「続・知られざる日豪関係」(339)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして『大丈夫ナリ』と新田機に掌を向けて応答はしたものの、エンジンは次第に馬力を失い、高度を維持できず、隊形から離脱せざるを得なかった。 どんどん高度は落ち、四…