2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

●「続・知らざる日豪関係」(246)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『それはわかる、たしかにそうだろう。 しかし日本人として恥しい真似だけはしないほうがいいと思う。 台所のまわりをうろついたり、残飯をあさったり、人の食事に手を出す…

●「続・知らざる日豪関係」(245)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南の言葉に森木氏はすぐに反応した。 かれはニューギニアの飢餓地獄で捕虜となって以来、あちこちの病院を転送される間、病院の食事で割り当て以上の量を食べ、オーストラ…

●「続・知らざる日豪関係」(244)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『南さんは陸軍出身の私たちとは考え方もまったく違い、対立することもありました。 いつでしたか、かれがキャンプ・リーダー、陸軍の私が事務所員としてワーク・マスター…

●「続・知らざる日豪関係」(243)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ネグレヴィッチ氏はなぜ南と比較し、『むしろ金沢のほうが・・・・・・』といったのだろう。 小島正男軍曹の場合も明らかに違うように思う。 演芸会やスポーツ大会以外、さ…

●「続・知らざる日豪関係」(242)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「たしかにキャンプ内は強硬派の人たちに牛耳られていましたし、かれがその中の代表格でした』 おそらくは森木氏のいうとおりだろう。 金沢はかれの捕虜名簿移送記録でも、前…

●「続・知らざる日豪関係」(241)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「冷静で非常に頭の良い人でした。 オーストラリア人を殺すのもいやだ、殺されるのもいやだ、そう思っていたんでしょうね。 スポーツ万能な人で、とくにかれの野球の腕は素晴…

●「続・知らざる日豪関係」(240)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「森木氏の答は、思いもよらぬ強い口調で返ってきた。 『一部の本には金沢さんが八月四日の夜に、この班はあの柵をやれ、この班はこっちの柵をやれと采配をふるい、まるで暴…

 ●「続・知らざる日豪関係」(239)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それは私が『捕虜本人』の口からはじめて聞く、『カウラへの道』だった。 おそらくほとんどの捕虜たちは、森木氏と同様、このままではいけないと思いつつも、わずかに残る…

 ●「続・知らざる日豪関係」(238)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「バスの最前席で、私は森木氏と並んでかけ、ぽつりぽつりと語る彼の話に耳を傾けた。 ニューギニアで負傷し、人事不省のうちに捕虜となり、野戦病院のベッドで目を覚ました…

 ●「続・知らざる日豪関係」(237)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それまで南忠男について、活字と報告書を中心に調べて来た私に、それは『内部』からの声を聞く、またとない機会だった。 森木氏ら一行が、シドニーに到着したのは、そろそ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(236)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして今回森木氏から届いた手紙は、高知県ニューギニア会と、濠洲カウラ会会長である森木氏が、かれらがかつて太平洋戦争で戦い、戦友を失った地であるラバウル、ニューギ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(235)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「第一信を書いたとき、『戦争を知らぬあなたの世代には、われわれの気持ちは理解できぬこと』と詳しいことなど教えてくれないのではないかと、心中不安だった。 しかしすぐ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(234)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それどころか、かれは、 『私はいつも、あのキッチンで縊死したサブリーダーの小島こそが、主導者だと思っていた』 という。 通訳であったネグレヴィッチ軍曹も、情報部だ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(233)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そのあとボーマン氏は、密告情報入手後に情報部がとった措置、事件当夜のこと、査問会議に関することなどを、詳しく話してくれた。 一情報部員として、そして弁護士として…

 ●「続・知らざる日豪関係」(232)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「マツモトの取り調べには情報部のシェルトン少佐、A・T・I・S(ARMY TRANSFER & INTERRROGATE SECTION=陸軍部捕虜移送及び訊問部)のジョーダン大尉とマン大尉があたり、そ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(231)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それは暴動事件当時、かれの身辺に起こったさまざまな出来事を、詳しく書き綴ったメモだった。 『たしかにわれわれは、日本兵らが脱走をする気配があるとの情報をつかんで…

 ●「続・知らざる日豪関係」(230)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ネグレヴィッチ氏の教えてくれた住所をたよりに、私はボーマン氏に会いに行った。 かれはシドニーの目抜き通りにある高層ビルの中で、大きな弁護士事務所を主宰していた。 …

 ●「続・知らざる日豪関係」(229)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南の話を聞き終えて帰るとき、ネグレヴィッチ氏は、『この人に会ってみなさい』と、かれの友人である弁護士のボーマン氏を紹介してくれた。 ボーマン氏とは、カウラ収容所…

 ●「続・知らざる日豪関係」(228)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかし・・・・・・そばにほかの日本人捕虜がいるときなどは、英語で話さず日本語で話しかけてきました。 英語で話していても、日本人が来ると途中で日本語に変えてしまう…

 ●「続・知らざる日豪関係」(227)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ネグレヴィッチ氏は満州のハルビンで、裁判官を父に持つ旧家に生まれた白系ロシア人だが、幼少の頃から満州の大学を出るまで、常に日本人と接していたので、日本の家庭生活…

 ●「続・知らざる日豪関係」(226)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「平均年齢五十歳という軍隊としては異常なほど高齢者が多い第二十二守備大隊の中で、若いネグレヴィッチ氏はむしろ敵であっても同世代の南のほうが親しみをもてたのかもしれ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(225)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「当時収容所内のイタリア兵捕虜は、所外作業にも監視委兵の付き添いなしで、かなり自由に出かけて行ったという。 日本兵も川のそばで野菜を作っており、ときに出かけて行く…

 ●「続・知らざる日豪関係」(224)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私はかれのことが好きでした。 礼儀正しくて頭が良く、実に好感の持てる男でした。 南も私に好感を持っていたはずです。 われわれはいい友人だった。親友だったんですよ』 …

 ●「続・知らざる日豪関係」(223)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「かれらのわきを抜けて前の方へ行くと、全員の前で、ある捕虜がスピーチをやっていました。 それが南だったんです。ええ、かれはハンサムでしたよ。 そのときは顔を合わせて…

 ●「続・知らざる日豪関係」(222)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「第二十二守備大隊の生活はいつも同じでね、退屈でしたよ。 平均年齢五十歳くらいかな、年配の隊員ばかりでした。私が最年少です。 あのとき私はまだプライベイトでしたが、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(221)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「なぜ突撃ラッパを吹いたのか。 金沢が主役であり、南は単にラッパを吹く役を与えられたにすぎなかったのだろうか。 この点に関し、私はかなりしつこくネグレヴィッチ氏に念…

 ●「続・知らざる日豪関係」(220)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『それは違います。 南はたしかに収容所内のリーダーでイニシャチヴを握っていました。 しかしかれは強硬派と呼ばれるような男ではありません。 しいていうなら穏健派です…

 ●「続・知らざる日豪関係」(219)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『南忠男のことを覚えておられますか。 あの暴動は南忠男が中心になって計画したもの、つまりかれが首謀者だったと思うのですがいかがでしょう』 『ノー』 ほとんど間髪を…

 ●「続・知らざる日豪関係」(218)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「その元収容所日本語通訳の名前は、O・E・ノーヴァル氏、当時はオレッグ・ネグレヴィッチ軍曹と名乗っていた。 カウラ関係の公文書には、マン大尉と並び頻繁に名前の出てく…

 ●「続・知らざる日豪関係」(217)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「将校キャンプのゲート跡から、ブロードウェイに沿って八〇ヤード。 南忠男が喉をかき切って死んでいた場所に立ち、私はますますわからなくなった。 シドニーとカウラとの間…