2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知らざる日豪関係」(185)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ニューギニアで捕虜となった、野田浩蔵氏の証言。 『南兵曹の吹いたラッパの音を耳にしたのは五日午前二時です。 手に手に武器を持って──と言っても野球のバットとか棒切れ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(184)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「十八年一月初旬に捕虜となった、塚本兼松氏の証言。 『いろいろな人がいましたが、そのキャンプリーダー格の人で強烈な印象として今に残っているのは南兵曹ですね。 パイロ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(182)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南兵曹は飛行機がやられて捕まった組らしかったから戦争の本当の恐怖を知らないかのようでした。 これに対して穏健派は、不利な戦闘の苦闘をいやというほどなめさせられ、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(182)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私はその場で第十一班に回されました。(中略) キャンプ内の生活に慣れるにつれ、二つの流れがあることが分かりました。 強硬派と穏健派です。 強硬派は軍人精神旺盛で[…

 ●「続・知らざる日豪関係」(181)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『カウラ収容所に入れられた時、先にいた戦友が、 [ご苦労さん] と出迎えてくれ、負傷後の体が完全でなかった私を両側から支えてくれました。 私がカウラに着いたのは十…

 ●「続・知らざる日豪関係」(180)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「連邦政府の公文書などを中心とする調査をしばらくおいて、私は日本側の資料を調べてみようと思い、日本にいる友人のY君に手紙を書いた。(中略) 公文書(注:日本側の)は…

 ●「続・知らざる日豪関係」(179)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南のように戦争初期に捕虜となり体力も消耗していない者ならば、飛行機など奪取せずとも五、六日で踏破できる距離である。 ヘイ収容所で南がヤスムラに誘いをかけたのはい…

 ●「続・知らざる日豪関係」(178)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「新聞には大雑把な国内地図ぐらいは載ることもあっただろうし、飛行機隊に所属していた南なら、多少の地理もつかんでいたかもしれない。 前二回の脱走の目的は、なんらかの…

 ●「続・知らざる日豪関係」(177)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「当初私はそれを聞くたびに、たしかに作戦も戦況も知らされずに戦った兵隊も多かっただろうが、輸送船団で送られて来たかれらが祖国日本との距離を知らぬはずがない、なにを…

 ●「続・知らざる日豪関係」(176)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(注:当時、カウラの住民たちは、「逃亡した日本人捕虜」と知りながらも、彼らが自宅の食糧や飲み物などをあさっているのを「黙認した」だけでなく、「積極的に与えていた…

 ●「続・知らざる日豪関係」(175)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「キャンプ・リーダーの金沢を除き、日本人捕虜の個人名はこの報告書の中にはまったく見られないのに、南の名前だけは数回出ている。 それどころか、かれの遺体の発見された…

 ●「続・知らざる日豪関係」(174)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南忠男飛行兵曹の最期である。 ここまで報告書を読んできたところから判断すると、南は暴動の合図に突撃ラッパを吹き鳴らしたあと、ブロードウェイの二重ゲートを乗り越え…

 ●「続・知らざる日豪関係」(173)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『いまだ手にナイフを握り横たわっている、非常に多くの日本人の遺体が発見された。 ナイフにより胸部を突き刺した状態のもの、喉頭ををかき切ったもの、心臓または内蔵を…

 ●「続・知らざる日豪関係」(172)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「暴徒の群れは将校コンパウンドにもなだれ込んだものの、四方から向けられた機関銃の前に、即座に鎮圧されている。 かれらは何のために将校コンパウンドに入ったのだろう。 …

 ●「続・知らざる日豪関係」(171)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『ブロードウェイ内に脱出した捕虜らの一集団は、北側の二重ゲート急襲に北へ向ったが、ゲート付近に配置していた監視兵らのライフルと自動小銃により阻止された。 他の一…

 ●「続・知らざる日豪関係」(170)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「捕虜たちはわずか数分で次々と脱柵し、ブロードウェイ内へ、あるいは収容所外辺へと脱出した。 もちろん監視兵による銃撃は、すでにはじまっている。 このとき収容所外辺に…

 ●「続・知らざる日豪関係」(169)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「有刺鉄線に対する防具として、捕虜たちは毛布を運び、有刺鉄線及びコイル状有刺鉄線の上に投げ上げた。 手を保護するものとして、多くはトイレットペーパーを使用する中で…

 ●「続・知らざる日豪関係」(168)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ふたたび公文書『事件経過報告書』にもどる。(中略) 『攻撃はあらかじめ申し合わされてあったであろう信号ラッパに先導された。 それぞれに二百名から三百名の集団が、四…

 ●「続・知らざる日豪関係」(167)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「あるいは供述書を書いた吉田が隠しているのだろうか。 そもそも供述書のような類いのものは、なんらかの圧力のもとで強要されて書くものだから、それは充分考えられる。 そ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(166)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「朝鮮人捕虜マツモトが立ち聞きした話では『守備隊を襲撃し、武器弾薬を奪取する』ことになっていたはずである。 おそらくこの行動計画は強硬派最古参捕虜として主導権を握…

 ●「続・知らざる日豪関係」(165)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『a)四四年八月四日の夜、会議が開かれ、二十四時に決定が出た。 決行は四四年八月五日午前二時(すなわち二時間後)に決められた。 b)第一ハット(注:仮兵舎=直訳)か…

 ●「続・知らざる日豪関係」(164)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「通達後から暴動勃発までの経緯は『事件経過報告書』にはまったく記されていないが、私が戦争記念館で入手した資料の中に『捕虜供述書』があり、この中でおよその経緯が述べ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(163)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ニューギニアでの日本軍の敗退に比例し、陸軍捕虜が増えたからだろう。 暴動当時のBコンパウンド(注:カウラ第12戦争捕虜収容所内の「日本人捕虜」がいた構内)捕虜リス…

 ●「続・知らざる日豪関係」(162)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(中略)南は手渡された移送捕虜名簿を見て、『VERY BAD BUSINESS、WHY CAN ’T WE ALL GO?」(非常にまずい、なぜわれわれ全員が移動できないのか)と抗議したと報告書は…

 ●「続・知らざる日豪関係」(161)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「(中略)南忠男はその強硬派捕虜の中では、古参も古参、捕虜第1号の最古参で、いわば『牢名主』のような存在だった。 『カウラ出撃』の中で森木氏(注:著者の森木勝さん…

 ●「続・知らざる日豪関係」(160)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「その南が、暴動で突撃ラッパを吹き鳴らして死んだ。 先頭に立ってラッパを吹き鳴らすことは、いかにも捕虜第1号という目立った存在にふさわしいようでもあるが、その反面…

 ●「続・知らざる日豪関係」(159)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それとも脱走ではなく、なにか裁判を必要とするような、行為を犯しての拘置だったのだろうか。 この七日間の拘置を解かれたのち、南は二回の入院以外は何の問題も起こして…

 ●「続・知らざる日豪関係」(158)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ラヴディ収容所やヘイ収容所が民間人中心の収容施設だったのに対し、カウラは軍人だけの捕虜収容所である。 もし脱走を計画し、実行するならば、このカウラ収容所のほうが…

 ●「続・知らざる日豪関係」(157)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ここでは拘置場の世話にはなっていないが、ブルームのヤスムラが南に脱走の話を持ちかけられたのは、このヘイ収容所でのことである。 結果的にヤスムラは南の計画には乗ら…

 ●「続・知らざる日豪関係」(156)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「アンザイはラヴディ収容所でも南を見かけたが、一週間ほどのうちに脱走が発覚し、よその収容所へ送られたらしい、といっていた。 一週間と十三日間というのは、多分記憶違…