2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知らざる日豪関係」(93)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「多分これ以前に撃ち落とされた零戦は、大破炎上か海中に没するかで、まともな状態では捕獲されていなかったのだろうが、となるとこのメルヴィル島の零戦からはずされたエン…

 ●「続・知らざる日豪関係」(92)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「またエンジンのみならず機体に関しても、A・J・某報告の陸上調査隊派遣ののちに、回収され、軍部により保管されていただろう。 これは余談になるが、アメリカ軍は太平洋戦…

 ●「続・知らざる日豪関係」(91)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ベル中尉の報告の中には、このメルヴィル島の零戦の部品を回収し、メルボルンへ提出しなくてはならない、とあった。 メルボルンというのは、R・A・A・F、オーストラリア空…

 ●「続・知らざる日豪関係」(90)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「それとも被弾による被害が大きくて、すでに飛行はもちろん滑空も不可能になり、墜落してしまったのだろうか。 もっともこれを考える場合、南の零戦はどこで被弾し、どの程…

 ●「続・知らざる日豪関係」(89)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「あるいは南も、死と引き替えの戦果を求めながらも、『失敗』して、偶然に生き残ったのだろうか。 しかしこれはちょっと考えられない。 もし、いさぎよく目標物を定め、自爆…

 ●「続・知らざる日豪関係」(88)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかし、その二つとも、どうも該当しないように思う。 とくにパラシュートという脱出の手段は、他国の軍隊ならともかく、日本軍の場合はあまり行われていなかったのではな…

 ●「続・知らざる日豪関係」(87)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「南忠男が、メルヴィル島の『ZEKE』のパイロットだったことは、ほとんど確実のようだ。 しかしかれはどのようにして捕虜になったのだろう。 墜落した飛行機から、どうやって…

 ●「続・知らざる日豪関係」(86)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「軍隊内における南の所属、階級が、英語呼称ではなく日本語呼称のローマ字表記で記入されており、その下に該当する英語呼称の階級が、カッコ書きで付け加えられている。 ラ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(85)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ヤスムラ(注:真珠貝採取の移民)は、『南の国で忠義を尽す男』という意味の偽名だといっていたし、また森木氏も『カウラ出撃』の中で、それに相違ないと書いていた。 お…

 ●「続・知らざる日豪関係」(84)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私は『ミナミ』が、または『MINAMI』が『南』であることはすでに知っていた。 しかしそれは森木氏の『カウラ出撃』などの本から活字をとおして知った、いわば間接的なもの…

 ●「続・知らざる日豪関係」(83)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして調書の最後に、一九四二年四月二十一日と日付けが記され、ヘイ収容所司令官マクウィリアム陸軍少佐の署名があり、その左側の『戦争捕虜本人の署名』という欄に、漢字…

 ●「続・知らざる日豪関係」(82)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「○氏名 ─ ミナミ タダオ ○国籍 ─ 日本国 ○生年月日 ─ 一九一九年三月二十日 ○出生地 ─ 神奈川県 ○入隊前の職業 ─ 農業 ○宗教 ─ 仏教 ○現住所 ─ 神奈川県X町 ○逮捕地 ─ ダー…

 ●「続・知らざる日豪関係」(81)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「私はその経路に沿って、すべての記録を調べてみたが、残念ながら入手できたのは、そのうちのごく一部でしかなかった。 ヘイ収容所の記録では、南は入所してから数日後に、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(80)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「その結果、たった一人だけ、該当する日本兵が浮かび上がったのだが、その調書をファイルから抜き出して見たとき、私はやっぱり、と思った。 調書の名前は、南忠男である。 …

 ●「続・知らざる日豪関係」(79)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「捕虜調書は、例によって箱詰めのファイルになっていた。 捕虜一名に対し一枚しかない捕虜名簿と違い、調書はオーストラリア国内にあったいくつかの地域伝令部、情報部、そ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(78)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「オーストラリア軍情報部は、この男に対しておそらく情報入手を試みていたに違いない。 捕虜調書に関しては戦争記念館資料室ではまったく手がかりがつかめなかったので、私…

 ●「続・知らざる日豪関係」(77)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そこで私は、南忠男を出発点として調べるのをやめ、飛行服の男を起点として調べてみることにした。 ベル中尉報告の中で、飛行服の男は通訳による訊問を受けた、とある。 そ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(76)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「戦争の兵役経験者ならではの指摘だし、おそらくはベル中尉もそうしたことを踏まえて判断していたい違いない。 そして、そのベル中尉の判断が正しければ、飛行服の男は零戦…

 ●「続・知らざる日豪関係」(75)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ベル中尉は、飛行服の男は零戦の搭乗員に間違いないとみているが、男の方(注:南忠男?)は海に突っ込んだ爆撃機の機銃手であると主張している。 しかしベル中尉はこれに…

 ●「続・知らざる日豪関係」(74)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ここまではいいが、しかし問題はそれら撃墜された日本軍機の搭乗員である。 ベル中尉の見た飛行服の男、すなわち私が南忠男ではないかと思っている男は、どの日本軍機の搭…

 ●「続・知らざる日豪関係」(73)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「次に、メルヴィル島で発見された「ZEKE」、すなわち零式艦上戦闘機。 これも確実に、日本軍の被害の一つである。 そしてもう一つは、ベル中尉が報告の中で「われわれが撃墜…

 ●「続・知らざる日豪関係」(72)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「残念ながこの二つの報告書は、墜落機のパイロットに関してはまったく触れてはいないが、報告内容にある機体の状況からして、少なくともパイロットは焼死はしていないらしい…

 ●「続・知らざる日豪関係」(71)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『参照・墜落機ゼロの現場観察の電話報告、目的・メルヴィル島の現場調査』と題されたこの報告書は、一九四三年の三月二十九日の日付けとなっており、ダーウィン空襲より一…

 ●「続・知らざる日豪関係」(70)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「つまり、ベル中尉の報告の中に出てくる六人の日本人とは、私がメルボルン公文書保管室で調べた捕虜名簿の「PWJA 110、001 ミナミ タダオ」と、それに続く「PWJM」の110…

 ●「続・知らざる日豪関係」(69)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「速記録(注:空襲後、被爆地ダーウィンで開かれた連邦政府の諮問委員会の速記録)の会話の中には、それぞれの日本人の捕虜番号も姓名も、残念ながら示されてはいないが、全…

 ●「続・知らざる日豪関係」(68)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「四箱のダンボール箱いっぱいの資料で、ダーウィン空襲の経過と日本軍機の被害を知ることはできたが、南忠男につながる決定的なものは得られなかった。 だがもしも、南忠男…

 ●「続・知らざる日豪関係」(67)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「防戦らしい防戦といえば、空襲当時上空警戒にあたっていた、オーストラリア空軍のP40キティホークがわずか二機だけである。 そのほかの飛行機はすべて出動する間もなく、地…

 ●「続・知らざる日豪関係」(66)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「また格納庫内の飛行機は、出動あるいは待避のチャンスさえ与えられなかったのか、機体はことごとく吹き飛ばされ、燃え尽きて、重い大キャストのエンジン部のみが転がってい…

 ●「続・知らざる日豪関係」(65)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「第一次、第二次の二波攻撃で、延べ百四十五機が出撃している。 当時も今もダーウィンはオーストラリア大陸の北の玄関口であり、軍事的には北の要衝としての大軍港だったが…

 ●「続・知らざる日豪関係」(64)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして第二次空襲は現地時間の正午、日本時間午前十時である。 空襲に飛来した日本軍機は第一次で、「NAVAL TYPE″0″」すなわち海軍の零式(れいしき)艦上戦闘機が十八機…