2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知らざる日豪関係」(124)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そこにはコンクリートが、大きくえぐられた穴があるだけだった。 いったいこれがどうしたというのだ、この穴になにか特別な意味でもあるのだろうか。 謎解きをするように、…

 ●「続・知らざる日豪関係」(123)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そんなかれらの話を聞きながら、大戦中に郷土を襲った、この『日の丸』のついた零戦を当時の形へと復元した場合、あの日空襲を体験した人々はどういうだろう、などと思った…

 ●「続・知らざる日豪関係」(122)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「零戦の機体調べがすんだ日の夜、むし暑い格納庫内で、私は研究会のメンバーに混って、零戦など航空機にまつわるエピソードを話し合っていた。 例の南機のみならず、B25やP4…

 ●「続・知らざる日豪関係」(121)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そしてダーウィンからこの二つの島までは、七、八〇キロも離れているのである。 もし南機が高射砲にやられていたとするならば、当然それはダーウイン上空か、その付近でな…

 ●「続・知らざる日豪関係」(120)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「日本軍の場合、そういうことはなかっただろう。 むしろ上級搭乗員なればこそ、『目標物を定めて・・・・・』だったのではないだろうか。 スムースなファースト・クラスの不…

 ●「続・知らざる日豪関係」(119)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ハスレット氏がそう判断した理由の一つには、次のようなこともあったらしい。 かれは過去に南機のほかに三機の零戦捕獲品を調べたことがあるが、南機には無線電話装置ほか…

 ●「続・知らざる日豪関係」(118)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「機体の骨材は歪んでないが、翼端がひきちぎられたように破損しているのは、決して滑らかな不時着ではなかったように思えるのだが、これに対しハスレット氏は、逆に相当スム…

 ●「続・知らざる日豪関係」(117)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「いかに飛行機として、戦闘機として優れた性能を誇っていた零戦といえども、そのエンジンをやられ、推進力を失ってしまっては、もはや手も足も出ない。 ただの宙に浮く金属…

 ●「続・知らざる日豪関係」(116)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ジョン・ハスレット氏も、そうした貴重なアドヴァイスをしてくれた人の一人だった。 研究会員の一人であり、零戦研究家であるかれは、四機の零戦を調べた経験を持ち、とく…

 ●「続・知らざる日豪関係」(115)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しばらくの間、私は毎日ホテルからこの格納庫へ通い、機体を調べた。 胴体の裏側、両翼の裏側、両縁、そしてエンジン接合部などの本体をくまなくチェックし、それらの写真…

 ●「続・知らざる日豪関係」(114)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかしもし、航空史研究会の会員たちがここに運び出していなければ、たとえ材質が優れていたとしても、いつかはあのサイパンの海辺やニューギニアの林の中に眠る武器の残骸…

 ●「続・知らざる日豪関係」(113)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「席内でかがみ込んで、足元を調べながら、私は操縦桿が連結されていたはずの、水平に取り付けられているシャフトのクランク部を、前後に動かしてみた。 そしてその手応えが…

 ●「続・知らざる日豪関係」(112)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「『南が語りかける声』を期待したわけではないが、そうすることで何かがつかめるのではないかと思った。 しかし、目の前には計器類のはずされたパネルの穴をとおし、七・七…

 ●「続・知らざる日豪関係」(111)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「もしこれに風防があったなら、息がつまる思いだろう。 こんな狭い席内に、かれらパイロットたちはたった一人で乗り込み、そして敵機を追い、敵機に追われ、撃ち合っていた…

 ●「続・知らざる日豪関係」(110)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかし間違いなく、あの特徴のある零戦の機体だ。 ただこうして広い格納庫内で、何機かの完全な形の飛行機に混じって並んでいるそれは、勇姿というには惨めなほど、そして…

 ●「続・知らざる日豪関係」(109)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「クーラーのきいたオフィスから、熱気の充満するオーブンのような格納庫の中に入ると、一瞬にして毛穴から汗が吹き出る。 庫内を薄暗く照らしている電灯の明かりが、熱帯特…

 ●「続・知らざる日豪関係」(108)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「会員らの報告が全部すんだあと、話題は私の取材内容に及んだ。 概略をあらかじめ連絡しておいたせいでもあるが、かれらの関心は非常に強かった。 零戦に関して、それもこの…

 ●「続・知らざる日豪関係」(107)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「荒れ果てた格納庫跡には、以前からそこに保管されていたらしい大型機の垂直尾翼が、鮫の背ビレのように夜空に突き出ていた。 オフィスに入ると月例研究会はすでにはじまっ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(106)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「ダーウィンの空港に着いて、涼しい機内から焼けたフライパンのような滑走路に降り立つと、強い陽射しが皮膚をこがすようだった。 夕方やや気温が下がりはじめた頃、私はパ…

 ●「続・知らざる日豪関係」(105)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「しかしもし墜落当時を推測できる状態にあるならば、私はそれを見てみたい。 機体の残骸が、南忠男について何か教えてくれるに違いない。 そう思い、私はダーウィンへ行って…

 ●「続・知らざる日豪関係」(104)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「パイパー氏はこの民間団体、ノーザン・テリトリー航空史研究会と個人的に親しく、機体回収以来連絡を取り合っているとのことだった。 『その機体は間違いなく、かれらが管…

 ●「続・知らざる日豪関係」(103)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「メルヴィル島のミリカピティ・カウンスル(役場の出張所のような機関)は、ノーザン・テリトリー航空史研究会に、一般公開と保存の目的で、機体残骸を所有することを認めた…

 ●「続・知らざる日豪関係」(102)

(注:)中野不二男さんの力作『カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか』には、『鬼気迫る取材力と執念、好奇心、そして粘り(根気強さ)』が十分に感じられる。 『知らざる日豪関係』というわたしのテーマにふさわしい題材として紹介させていた…

 ●「続・知らざる日豪関係」(101)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「第一面の上段には、『ゼロ・カムズ・バック・トゥー・ダーウィン』という見出しがあり、次のような記事が続いている。 『ダーウィン爆撃に参加した日本軍機の一つの残骸が…

 ●「続・知らざる日豪関係」(100)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「まだ三十代前半だろうか、奥さんが日本人だというパイパー氏は、ときどき日本語を混じえながら、機体に関する話をはじめた。 『あなたが捜しているのは、このゼロのことで…

 ●「続・知らざる日豪関係」(99)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「電話に出た研究室員ボブ・パイパー氏が、この零戦の機体の所在を知っていたのだ。 それも職務としてではなく、オーストラリア各地にある大戦中の軍用機を個人的に調べてい…

 ●「続・知らざる日豪関係」(98)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「そして戦争中の記録で、今なお一般公開されず担当機関に保管されているものも数多いことだろう。 しかしそうはいうものの、それは現在の外交や内政問題に影響を及ぼすほど…

 ●「続・知らざる日豪関係」(97)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「かれがいうには、現在公文書保管室にある記録文献は、ある一定期間、各種関係政府機関で保管されたのちに引き渡されたものであり、したがってここ数年のものはまだ担当機関…

 ●「続・知らざる日豪関係」(96)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「これまでなんとか糸をたぐるように調べて来たが、ここに来てその糸がぷっつりと切れ、手がかりを完全に失ったようだった。 そして、オーストラリア側での調べはこの辺が限…

 ●「続・知らざる日豪関係」(95)

〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜 「全部調べ終わったが、それらしきものがまったくないのだ。 ただの一枚も、回収されたエンジンについて、機体について述べている報告者がないのである。 これはいったいどう…