2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

  ある講演から(46)

日本に帰るときに乗ったオーストラリアの航空会社の国際線で、私が居眠りをしているうちに息子の姿が見えなくなり、一瞬慌てました。 でも、「 飛行機の中だから、心配することもないだろう」と考え直しました。 1時間ほど経ってから、スチュワーデスに手を…

  ある講演から(45)

「キャンベラの夜景はすばらしいですから」と勧めてくれた、旅行代理店の担当者の言葉通りでした。 観光用ではなく、普通の定期便にもかかわらず、パイロットは、乗客にその壮大で美しい夜景を見せるため、ライト・アップされたキャンベラの上空をゆっくりと…

  ある講演から(44)

港湾労働者の皆さんは、初め、「仲間の誰かが仕組んだ茶番劇? だ」と思っていたそうです。 ところが、警察官が来て大騒ぎとなり、やっと「本物の強盗にやられたことに気づいた」というのです・・・。 ▲情のあるサービス、のんびりした人のよさ▲ 私は、砂漠の…

  ある講演から(43)

こんな場合でもジョークを飛ばすのはいいのですが、「人がよすぎる」という一面もあります。 とにかく、おおらかすぎるんですね。 港に停泊中の船から、6・000ドルもの大金が奪われる事件がありました。 犯人の三人は、ピストルを片手に、港湾労働者と同…

  ある講演から(42)

二人組は、「俺たちは、強盗だ!」と、低い声でアルバート老人を脅しました。 すると、アルバートさんは、こう答えたといいます。 「君の持っているライフルは、実にすばらしいじゃないか!」。 このひと言が、間抜けな強盗たちには、効いたようです。 ちょ…

  ある講演から(41)

▲強盗も冗談だと思うジョーク好き▲ 合理的な生き方をする一方で、オーストラリア人は、サービス精神がきわめて旺盛で、ジョークの大好きな国民です。 冗談は、しょっちゅう交わします。 ここで、おもしろい新聞記事をご紹介しましょう。 「それは、すばらし…

  ある講演から(40)

現地からの報道によりますと、事故発生から4日後に事故現場を訪れた遺族は、日本人を除くと、香港の中国人の一家族だけだったそうです。 アメリカ人やオーストラリア人の遺族は、現場には行かなかった。そればかりか、オーストラリアでは、このときすでに、…

  ある講演から(39)

すると、彼は 「私たちオーストラリア人は、こういうときには、ただ『バッド・ラック=運が悪かった』と言うだけなんだよ」 と答えました。 そして、「亡くなった人の魂は、肉体を離れて神のみもとへ行ってしまった。 だから、もはや魂の抜けた遺体を探しに…

  ある講演から(38)

この事故で、乗客と乗員86人が犠牲になったのですが、この中にメルボルンに住むオーストラリア人が17人含まれていました。 「やじ馬根性」から、早速日航のメルボルン支店に行ってみました。 「日本人的発想」からでしょう。日航の駐在員は、「遭難者の…

  ある講演から(37)

ある大学の教授にお会いしたとき、「日本人が、オーストラリア人のような合理的な生活をしたら、日本の電力消費量は、現在の三分の一で済む」と話されていました。 さぞかし、電力会社は慌てることと思いますが、要するに「日本人は、電気をむだづかいしてい…

  ある講演から(36)

「資源大国」のはずのオーストラリアが、ここまで徹底して節電している、言い換えれば「むだづかい」しないように努めているのです。 帰国して間もないころ、「オイル・ショック」に見舞われて日本中が大騒ぎになったことがありますが、私は、「原油価格が上…

  ある講演から(35)

オーストラリアでは、車がないと生活が成り立たない。言ってみれば、車は足代わりに使うもので、ピカピカに磨きあげて「床の間に飾るもの」ではありません。 車に対する考え方や使い方が、日本とは根本的に違います。 話は変わりますが、日本のマンション(…

  ある講演から(34)

日本人には信じられないかもしれませんが、オーストラリアで「ガスライター」を持っている人は、ほとんど見かけませんでした。 脇の下に抱えた大きなマッチ箱から一本取り出し、サーッと擦ってたばこに火をつけるのが普通でした。 日本の喫茶店やホテルなど…

  ある講演から(33)

これがスーパー・マーケットとなると、さらに徹底しています。 売り場の隅の方に、リンゴやビールなどの空き箱が山のように積み上げられています。この中から適当なものを選んで買った品物を入れ、車まで運ぶのです。 肉類などを除くと、ほとんど包装するこ…

  ある講演から(32)

▲資源国なのに徹底したむだの排除▲ 日本では、例えばデパートで買ったおすしを食べようとすると、まず「デパート名の入った包装紙」、次に「おすし屋さんの包み紙」、その「包み紙」をはがしてふたを開けると、「透き通った薄い紙」が・・・。それをめくって…

  ある講演から(31)

考えてみれば、このような方式? は、実に合理的ではないでしょうか。 そればかりではなく、警察や消防署、放送局などに勤める人々が休日に働くと、「普段の日の2倍の給料」が貰えます。 日本では、休日に働いても、ごくわずかな「時間外手当て」を支給され…

  ある講演から(30)

「どうしてだろう」と、不思議に思ってよく聞いてみますと、 「トップの休暇中は、次長が彼(トップ)の部屋に移って執務する。 そして、空いた次長の席には、部長である友人が移動する」のだそうです。 それだけではありません。この期間中、彼は「次長待遇…

  ある講演から(29)

電力会社に、「苦情を訴えてくる人はいませんか」と問い合わせると、 「そんな人は、まったくおりません。こんな電話をしてくるのは、あなたが最初で最後でしょう」と、皮肉たっぷりに言われてしまいました。 この国の人々にとっては、「テレビよりも、電気…

  ある講演から(28)

そんなとき、家に帰ってテレビを見ようと、スイッチを入れました。 ところが、「ザーッ」という音がするだけで、画面はチラチラ。4つあるチャンネルを次々に回しても、番組は一切出てきません。 節電に協力するため、どのテレビ局も「放送を中止して」いた…

  ある講演から(27)

学校の先生方から、お医者さんや看護婦さんまでがストライキをするのですから、日本人の私が驚くのは当然かもしれません。 1972年2月、私の住んでいたメルボルンの近くにある発電所が、ストに突入しました。 すると、直ちに電力の使用制限が実施されま…

  ある講演から(26)

やはり、一人の子どもを次代を担う者(後継者)として立派に育て上げるには、社会全体の力が必要で、大人のみんなが協力しなければ実現しないでしょう。 当然ですが、他人の子どもでも、悪いことをしていたらきちんと叱るべきです。 ▲毎日のようにストライキ…

  ある講演から(25)

「日本人は、両親だけの力で、子どもを一人前の社会人として立派に育てることができるとでも思っているのか・・・」。 成人するまでは、世の中の大人という大人が、みんなで「人間教育をする」。 この「オーストラリア方式」を、個人的には「すばらしい」と…

  ある講演から(24)

「いや、彼は24歳だ」と答えると、 「じゃあ、どうして父親が責任を取らなければならないのか」と尋ねてくる。 そこで、「今度のような事件の場合、日本では、犯人(本人)だけでなく、その子どもを育てた親までが道義的責任を取らされるのがごく普通だ」…

  ある講演から(23)

▲大人になれば、本人の責任▲ そのころ(注:1972年5月、イスラエルのテルアビブ・ロッド 国際空港で、岡本公三ら日本赤軍の3人が自動小銃を乱射して26人を殺害、多数の負傷者を出した事件)、イスラエルのテルアビブ空港で、赤軍の岡本公三たちによる…

  ある講演から(22)

「他人の子どもが何をしようと関係ない。うっかり注意して、親に恨まれたり面倒に巻き込まれたりしたら大変だ」。 その通りかもしれません。あるいは、高学年の子どもだと、反発されて「危害を加えられる」心配もあります。 でも、よく考えてみれば、これは…

  ある講演から(21)

さらに詳しく伺うと、去年は、(弁護士の)長女を連れて旅をした。来年は、長男を連れて行く」とのこと。 人生経験の豊かな祖父母も、「孫の教育」を担っている訳です。 異なった生活体験を持つさまざまな人々が、力を合わせて「一人の子どもを立派な成人(…

  ある講演から(20)

「子どもをきちんと育てる」には、おじいさんやおばあさんの存在を欠かすことは出来ません。 オーストラリアでは、昔のどこかの国と同じように、祖父母は「威厳のある者」として尊敬され、その発言(助言)は、非常に大切にされています。 弁護士の末っ子の…

  ある講演から(19)

何か機会があるたびに、(正確には、あらかじめそういう意図を持って)「ケース・スタディー?」をした。つまり、日本流に解釈すると、「はしの上げ下ろしに始まって、ホテルや音楽会でのマナー、目上の人に対する応対の仕方」などを、徹底して教えたそうで…

  ある講演から(18)

弁護士夫妻は、末っ子だけを連れて、一週間の「自動車旅行」に出かけました。 この旅行から帰ってから、問題の末っ子の態度が一変しました。 一言で言えば、「とてもいい子」になったのです。 おとなしくなり、おもちゃの独り占めなど、まったくしなくなりま…

  ある講演から(17)

「問題児?」である親友の末っ子は、これらのおもちゃをいつも独り占めにしようとしました。 上のお姉さんやお兄さんは、きちんとしつけを守るとてもいい子だけに、末っ子のことを、「どうしてああなんだろう、同じ兄弟なのに」と、家内とよく話したものです…