2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” ガダルカナルではヴァンデグリフトと参謀たちが各方面からの通信をつきあわせて、当面の戦況をつかもうとしていた。 メイスンの報告、飛行機の偵察報告、捕獲文…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 百武中将自身も九日に出撃した駆逐艦に便乗してガダルカナルに向った。 ブインの背後の丘の上ではポール・メイスンが、ショートランド泊地を埋める日本の大船団…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 「一〇四二、戦闘機六貴地へ向う」「一三〇〇、戦闘機六貴地へ向いつつあり」「一四一五、戦闘機一三貴地へ向う」と終日キイを叩いて、彼は情報を送りつづけた。…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 最初は連帯規模で、次には旅団単位の部隊が投入されたが、奪回作戦は失敗したので、ソロモンとニューギニアの全日本軍を指揮していた百武晴吉陸軍中将は一個師団…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” サイラスはまた、メソジスト派宣教師のA・W・E・シルヴェスター牧師がまだベララベラにいて、島の南端ビルアに住んでいるはずだと語った。 それを聞いてジョスリ…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 乗客はサイラス・レザツニという六マイル南にあるパラマタ村の酋長であった。 敵意どころか、きわめて友好的で、情報をたくさんしゃべった。 「はい、日本人はこ…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” だが今までのところではこの島で敵にせよ味方にせよ誰一人も見かけていないのだった。 彼らがこの問題で頭を悩ましていると、突然二人の現住民がカヌーに乗って…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 十月二三日、彼らは一日中大きな送信機にかがみこんで格闘したが、汗が流れるだけで、機械は依然として動こうとしなかった。 はるか上空には日本機の大編隊が轟…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” もっと重大な問題は、無線送信を始めるべきかどうかということだった。 頭上には、日本機の大編隊が小さな銀色の翼を光らせて、ガダルカナルに向けスロットを下…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” それは嬉しい再会となった。 ベニはすぐチョイセルの日本軍について知っているだけの情報を話してくれた。 島の北端に少数が駐屯しているが、ほかにはどこにもい…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 他によい解決法を考える余裕はなかった。 二人はナイフと銃剣で、空気がすっかりぬけるまでボートをズタズタに切り裂いた。 それからぐにゃぐにゃになった残骸も…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 「われらその亡骸(なきがら)を城壁に急ぎ運びしとき、太鼓の音はきかれず、とむらいの歌もなかりき」 幸いにも、陰気な物思いにふける時間は短かった。 行程の…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 一〇月一九日の夜、グランパスはふたたびチョイセル島の北岸に向い、二〇日の午前一二時三四分、クレイグはナシプシ岬一マイル沖に舞い戻った。 乗組員たちは手…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 二人はびっくりしたが、潜水艦の乗組員たちが攻撃目標に接近した時に生まれる一種の熱気を感じとった。 まもなくグランパスは、ビスビス岬沖で日本巡洋艦三隻と…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 知っている限りであの手この手をつくしてみたが、さっぱり利き目がない。 チョイセルに派遣されたニック・ウォデルとカーデン・シートンのチームも、彼らなりの…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 川から半マイル離れた地点に、彼らは無線機を設置するのにうってつけな高さ三〇〇フィートばかりの丘を見つけ、そこにカムフラージュした差しかけ小屋を作り、…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 何が来てもかまわない。 たとえ全帝国陸軍が浜をめざして行進してきても仕方がないという気分だった。 彼らは最初の二日間は食べて寝るだけですごしたが、それか…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 六時一五分前、ゴムボートもふくめて全装備を隠し終えた彼らが、自身も大木の下へすべりこんだのと同時に、早朝哨戒に飛来した川西飛行艇一機が大きな爆音を残し…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” ジョスリンとキーナンが急いで引き返してくると、箱や食料の包みが泡だつ波の中でぐるぐるとまわっていた。 見つかる限りすくい上げて無事なボートに積みこんだ…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 残されたただ一つの方法は、暗礁をまっすぐ乗り越えて、向う側の静かな礁湖の中に入りこむことだった。 この冒険的作戦をやるためジョスリンとキーナンは第一の…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 夜明けは遠くない。 彼はキーナンを残し、確実な水路を求めて二〇〇ヤード南へ漕いで行ったが、サンゴ礁に砕ける白い波の線はずっと続いていた。 その間に時間は…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” オールを握って彼は水をかきわけて進み、一時四二分”小艦隊”は発進した。 星明りをたよりに、ジョスリンは苦労しながら岸へ向った。 司令塔からクレイグ中佐が黙…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 海は油を流したように静かであったが、潜水艦は黒い太平洋のゆるやかな重いうねりに上下した。 乗員は後部ハッチをあけ、二つのゴムボートを引き出したてふくら…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 日本軍は彼らがそこにいたのに気づいたろうか。 われわれを探しているのではないか。 いろいろ迷ったすえ、結局は上陸すべきだとなった。 もし駆逐艦が彼らの来…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” グランパス号は浜から二マイル ── クレイグが古い海図で許されるぎりぎりの地点まで近づいたが、終日潜望鏡をのぞいてもやはり手がかりは見つからなかった。 う…
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 時々彼は一九世紀のドイツ人や一〇〇年前のフリゲート艦々長がおよその見当で作った海図を引っぱり出して照合を試みた。 しかし厚く茂ったジャングルの海岸線や…