2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

  交通ル−ル(5)

それは、お互いが“譲り合い”をするからだ。 交通量の多い方の車を優先させるのは、言う までもない。 「われさきに、交差点を渡ってしまおう」というドライバ−を見るのは、むしろ困難だ。 朝夕の通勤時間帯だけとは言え、交通量がきわめて多く、しかも信号機…

  交通ル−ル(4)

メルボルンでは、「交差点を渡る順番」がきちんと決められている。 第一に優先権を持つのは、“市電”(トラム=路面電車)、次は、“運転者から見て右側の車”だ。 市電が来ると、市電とともに電車通りの車が一斉に動き出す。 電車通りの車が交差点を渡り終える…

  交通ル−ル(3)

「特に、病院や学校の近くでは、クラクションを鳴らしてはならない」と、厳しく禁じられている。これに違反すれば、たちまち罰金を取られるのは言うまでもない。 私の住んでいる家の近くに、交通量のかなり多い交差点がある(と言っても、朝夕の通勤時間帯だ…

  交通ル−ル(2)

私には、少し厳しすぎるように思えた。「決定を下す」のが早すぎたからだ。 オ−ストラリア人の運転する車だったから? そうではない。私の知人をはねたのは、この国の人間ではなかった。「ル−ルは、あくまでもルール」。国籍など、一切関係ない。 ところで、…

  交通ル−ル(1)

交差点の青信号は、すでに点滅し始めている。赤に変わるのは間もなくだ。 こんなとき、お年寄りならともかく、ほとんどの人は脱兎のごとく駆け出して、大急ぎで横断歩道を渡ろうとするのではなかろうか。日本では、よく見かける光景だ。 だが、メルボルンで…

 “湯水のごとく”使わない(7)

妻が台所で洗い物をしているとき、親友の長女が遊びに来たことがある。 女同士でおしゃべりをしながら、妻の手伝いをしているうちに、彼女は不思議そうに 「どうして、あなたはそんなに水を使わなければならないのか?」と尋ねたそうだ。 「給水制限中」でも…

 “湯水のごとく”使わない(6)

彼らは、水を非常に大切にしている。だから、台所での洗い物も実に簡単だ。 皿やコップをお湯を張った流しに入れ、洗剤を何滴か垂らしてしばらくつけておく。 どこの家庭にも、ホット・ウオ−タ−・サ−ビスが普及していて、台所や風呂場ではいつでもお湯が出る…

 “湯水のごとく”使わない(5)

私の息子の通う小学校では、昼食前に手を洗う習慣になっている。そのときは、先生が付きっきりで「水を無駄にしないよう」注意するそうだ。いい加減な水の使い方をする子がいようものなら、たちまちカミナリが落ちるという。 こんなとき、一番迷惑をかけるの…

 “湯水のごとく”使わない(4)

ブライアンの話に戻る。 「たとえ見知らぬ子どもでも、その子が悪いことをしているのを注意しなかったら、私はほかの人々から厳しく批判されるでしょう。『決められた規則を守ること』は、すべてに優先するのです。私が規則を守らない人を告発しても、他人か…

 “湯水のごとく”使わない(3)

ブライアンの言葉が決してオ−バ−でなかったことが、間もなく証明された。 数日後の新聞に、ある人が「水道の使用制限を破って近所の人に告発され、多額の罰金を払った」という記事が載った。 その人は、たまたま水の豊富な保養地から帰ったばかりで、メルボ…

 “湯水のごとく”使わない(2)

冗談まじりで無責任にそう言うと、ブライアンは、さも「驚いた」と言わんばかりに私の顔を見つめながら、ムキになって答えた。 「とんでもない! そんなことをしたら、罰金を取られてしまうよ!」 「どうして? こっそり水道の水を使ったって、分かるはずは…

 “湯水のごとく”使わない(1)

「また、芝生を枯らしてしまったら大変ですよ!」 こう言いながら、ブライアンは庭に水をまいている。 彼が水やりしている“中身”は、正確には水ではない。バス・ル−ムでシャワ―を浴びながら苦労してためた“リサイクルの水”だ。 メルボルンの郊外に建てた新居…

 「アイスクリ−ムを買う順番」のさらに続き

このときも、私の注意は後方にいる“ヒゲヅラ”に集中していた。 すると、しばらくして隣にいるおばあさんが、後ろ向きの私に声をかけてきた。 「あなたの番じゃないですか?」 「えっ! そうですか?」 「何になさいますか」と、すかさず店員さん。 私を無視…

 「アイスクリ−ムを買う順番」の続きの続き

売店の前には、15、6人、いや20人ぐらいの客がいた。不思議なことに、きちんと列が出来ているわけでもないのに、誰もが暗黙の? 「順番らしきもの」に従っている。 私は、感心する一方で、新たな不安に襲われていた。 「次の方、どうぞ」と言われても、…

 「アイスクリ−ムを買う順番」の続き

「なるほど、人口の少ない国らしいな」。真夏のことなので、のどが渇くのは私たちだけではない。冷たいアイスクリ−ムや飲み物を求めて、大勢の人々が売店の前で順番を待っていた。だが、これらの人たちは、きちんと並んでいない、つまり列が出来ていないのだ…

  アイスクリ−ムを買う順番

1971年2月某日の早朝、妻と長男を伴った私は、シドニ−のキングスフォ−ド・スミス空港に着いた。ここからメルボルンまでは、空路でさらに1時間かかる。 羽田をたって、ホンコンとマニラを経由し、シドニ−に到着するまでおよそ17時間。 このあとまた、…

  男の服装(6)

「馬子にも衣装」なることわざは、この国でも立派に通用するようだ。 やはり、「徹底して優雅に楽しむ」には、その場にふさわしい服装が必要なのだ。 普段は質素な“ナリ”をしていても、いざとなれば精いっぱいのおしゃれを心がける。 そういう点で、彼らはき…

  男の服装(5)

その後も、それぞれの訪問先で、何度かパ−ティ−に招待されたが、彼らはその都度、違うス−ツを着て出席していた。 海外旅行にでも出かけるような大きなかばんの中身は、パ−ティ−のたびに着替えるス−ツであり、シャツであり、靴であったというわけだ。 旅の初…

  男の服装(4)

車内の男性の全員が、パリッとしたス−ツに身を包んでいたのだ。もちろん、きちんとネクタイも・・・。 実は、それまで不思議に思っていたことがある。バッグ一つの私と違って、彼らは、一週間の旅にしてはあまりにも大きな旅行かばんを持ってきていた。 ホテ…

  男の服装(3)

ホテルには、チェック・インのために“ちょっと立ち寄る”はずだった。だが、みんなはそれぞれの部屋に引きこもったまま、なかなか出てくる気配はない。 私は、ホテルのレストランでお茶を飲みながら、「ご一行さまのお出まし」をひたすら待ち続けていた。約束…

  男の服装(2)

さらに、「ネクタイを締めている人は」となると、数はもっと減る。 この旅の世話をするツア−・コンダクタ―(この国では、ツア−・マネ−ジャ−、あるいはキャプテンとも呼んでいた)と私のたった二人だけ・・・。 オ−ストラリアに来て間もないこともあってか、…

  男の服装(1)

オ−ストラリアの男性は、いつもは非常に質素な服装をしている。 たとえば、ゴルフ場へ行っても、日本のように、プロと錯覚するようなカラフルなウェアを着ている人は、ほとんどいない。ごく普通のスポ−ツ・シャツとズボン姿だ。 もっとも、この国ではゴルフ…

 「牛乳配達の馬車」のさらに続き

真夜中に、どうして馬車で牛乳を配達するのか? これは、愚問というものだろう。 夜が明ければ、電車が走り、車がひしめき、ときには救急車や消防車がけたたましいサイレンを鳴らして通り過ぎて行くその道を、深夜には昔ながらの牛乳馬車が、ゆったりと“かっ…

 「牛乳配達の馬車」の続きの続き

たくさんの電球をつないだコ−ドは、お祭りの山車よろしく、荷馬車の四隅に立っている棒(ポ−ル)を支えにして、ぐるりと張り巡らされている。 これは、交通事故に遭わないための“安全灯”だ。 荷馬車の車輪は、ゴム・タイヤで作られており、馬の足には、足袋…

 「牛乳配達の馬車」の続き

そっとドアを開けて、外へ出た。ひずめの音には違いないのだが、それにしてはずいぶん“遠慮がち”だ。奇妙な明かりとともに、その音は次第に近づいてくる。時折、ギ−ッときしむような音。ひずめの響きは、時々中断する。 やはり馬だった。小さな木の箱をたく…

  牛乳配達の馬車

ひっそりと静まり返った住宅街。辺り一面、もやに包まれている。昼の間は黄金色に輝いていた歩道の落ち葉も、今は闇の中に消えてしまった。 突如、深夜の静けさを破るように、遠くからひずめの音が聞こえてきた。 音のする方向をジ−ッと見つめているのだが、…

  なかな言わない「アイム・ソウリ−」のさらに続き

一度だけ、公に? 「アイム・ソウリ−」という言葉を聞いたことがある。 珍しく? 謙虚な御仁は、夜遅くテレビ・ニュ−スを読んでいた若いアナウンサ−だ。この夜の彼は、最初から様子がおかしかった。とにかく、“トチリにトチリまくって”いた。 いつもなら、ニ…

  なかな言わない「アイム・ソウリ−」の続きの続き

息子にいろいろ尋ねてみると、授業の前に「サムシング・ショウ」という、クラス全員を前にして誕生日のプレゼントを見せながら説明したり、家族で出かけた旅行の話をしたりする時間があるとのこと。 これは、小学生の低学年のころから、「きちんと話す習慣」…

  なかな言わない「アイム・ソウリ−」の続き

一見、無責任とも思える態度が何の抵抗なしに取れるのも、言ってみれば、幼いときから十分に訓練されて、そういう習慣が身についているからだろう。 実は、私の息子にも困ったことがあった。明らかに彼に非があるときでも、なかなか「アイム・ソウリ−」と言…

  なかな言わない「アイム・ソウリ−」

この国で不思議なのは、人々が“肝心なとき”に「アイム・ソウリ−」と言わないことだ。言い換えれば、この言葉には、単に「ご免なさい」では済まされない重要な意味が含まれているようだ。 たとえば、車同士がぶつかったときなど、「ごめんなさい」とは言わず…