2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知られざる日豪関係」(847)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ リードの解釈では、ブーゲンビルのジャングルに奥深く入ろうとするなら誰も白い制服などは着ないだろうから今までは心配していなかった。 だが今回の敵上…

 ●「続・知られざる日豪関係」(846)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 7 “東京急行”を撃滅せよ そのころ日本軍を追跡することは、ジャック・リードの念頭にほとんど浮ばなくなっていた。 彼の主な関心は、いかにして彼らから逃れるか、だけであっ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(845)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 以上が一一月四日、ディック・ホートンが何の前ぶれもなくラマダ号に乗って現われた時のタンガラレの状況であった。 彼はイサベル島とルッセル島に漂着したパイロット…

 ●「続・知られざる日豪関係」(844)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 その日から忙しい一週間が始まった。 クラーク神父は人夫をそろえるため近隣の村々を訪れた。 飛行機はヘンダーソン飛行場から通信文をもって何度も往復を重ねた。 そ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(843)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 今度はクラーク神父にあてた通信文であった。 それはヴァンデグリフト将軍の情報将校バックレー中佐からのもので、これからの作戦に神父の援助を求めたいという趣旨で…

 ●「続・知られざる日豪関係」(842)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 一方タンガラレ戦線には前途の有望を思わせるもう一つの状況が生まれていた。 一〇月二四日、二カ月ぶりに飛行機が二機不意に現われ、低空飛行で伝道所の上を旋回した…

 ●「続・知られざる日豪関係」(841)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 そこで付近に住む二人の酋長に手紙を書いて、協力するよう招きよせた。 一人は断ったが、もう一人のジョー・ツルカイアは手伝うと約束をした。 神父の計画では、すべ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(840)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 撃墜された連合軍の飛行士にはできる限りの援助を与えること・・・・・・“軍隊”に選ばれたものだけが武器を持つこと・・・・・・伝令組織を作ること・・・・・・夜は…

 ●「続・知られざる日豪関係」(839)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 危険はあの時よりもっと大きくなっている。 その時許されたことなら今は二倍も許されていいはずだ・・・・・・と彼は考えていた。 「よろしい」とクラークは代表たち…

 ●「続・知られざる日豪関係」(838)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 今までのところは、正当防衛の場合だけ、現住民や伝道者や、二、三人のパイロットの安全をはかるだけの範囲で行動して来た、と弁明ができた。 彼はたしかに銃を肩にか…

 ●「続・知られざる日豪関係」(837)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 彼らが言うには、日本軍が家や畑を荒しているというのに自分の村から離れて暮らしているのにあきあきした・・・・・・いつも逃げるばかりで、機銃掃射を怖れて魚取り…

 ●「続・知られざる日豪関係」(836)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 サラサラと風にゆれる樹々、きらめくサンゴ海、はるかな暗礁に砕ける波。 空をよぎって行きかう飛行機は、小さな銀色の点となり、何光年もかなたにあるように思えるの…

 ●「続・知られざる日豪関係」(835)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 わたしは歩いて家に帰って、銃をとり、それから射ちます。 かならず射ち殺しますよ」 伝道師のお説教としては異例の言い方だったが、効果は十分にあった。 ケサは走り…

 ●「続・知られざる日豪関係」(834)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 そして神父は必ずくるであろう窮乏と教会の防衛、秩序の維持に備えて緊張した日々を送っていた。 まず彼が直面したのは、現住民の反乱を防止する問題だった。 ケサと…

 ●「続・知られざる日豪関係」(833)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 「わたしの助言にはいつも従いなさい。 夜は明りをつけてはいけません。 ハンター岬やマラボボの日本兵に近づかないように。 わたしたちの敵を助けるようなことを決…

 ●「続・知られざる日豪関係」(832)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 すっかり疲れていたので、現住民の厚意に甘えて連れて行かれた小屋でアシの寝台にころがり、運ばれた魚や芋で腹を満たした。 住民の一人は少し英語が話せたが、近くに…

 ●「続・知られざる日豪関係」(831)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 レスリーはカヌーをそこにおいて、ふたたび歩きはじめた。 助けが近くにあるという思いに胸は高鳴った。 次の日の昼近く、泥道に足跡が見え、まもなく現住民の村落に…

 ●「続・知られざる日豪関係」(830)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 彼はココナツの木にかくれるように移動してカヌーに乗り移り、漕ぎだそうとした途端に兵士たちは少尉を見つけたらしく大声で叫んだ。 引き返すわけには行かないのでカ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(829)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 レスリーはもう一度、注意深くもぐりこんで待ち続けた。 しかし今度は新しい危険が生じてきた。 ココナツの木が兵隊の重みでしだいにたわんで彼自身を押しつぶしそう…

 ●「続・知られざる日豪関係」(828)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 足音がしたので見あげると、一人の日本兵が目を丸くして彼を見下ろしていた。 あわてて飛び出すと兵隊は大声で叫び、二人とも走りだした。 やっと引き離してからレス…

 ●「続・知られざる日豪関係」(827)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 やりすごしたあとジャングルの中に分け入ってみたが、遠くまでいくにはあまりに疲れ果てていた。 どしゃぶりで、蟻が手足に群がったが、彼は地面に横になると泥のよう…

 ●「続・知られざる日豪関係」(826)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 6 実力行使 運悪く沿岸監視網の外側に放り出された一人の男がいた。 それは海兵隊第二三一哨戒爆撃飛行中隊のデイル・M・レスリー少尉という若いパイロットだった。 九月二八…

 ●「続・知られざる日豪関係」(825)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 新しい待避壕は飛行場から二〇〇ヤード離れており、二〇〇ヤードばかり安全性を増したわけだが、バッテリーによる電灯と、椅子にする荷物箱もあるという快適さ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(824)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 一〇月二八日、緊張して待つこと一週間にして、なつかしいニック・ウォデルの声が無線で聞こえてきた。 彼とカーデン・シートンはチョイセル島北部のタガタゲラ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(823)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 二六日の未明までにヘンダーソン飛行場奪還を狙った日本軍の第三次攻勢が失敗したことは明白になったのである。 疲れきった勝利者にとってもう一度守り抜いたと…

 ●「続・知られざる日豪関係」(822)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” その壕の上に爆弾が直撃したのである。 奇跡的にも彼は、「首が汚れた」だけで、のんびりした顔付きではい出して来た。 一〇月二四日、いよいよ日本軍の総攻撃が…

 ●「続・知られざる日豪関係」(847)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ リードの解釈では、ブーゲンビルのジャングルに奥深く入ろうとするなら誰も白い制服などは着ないだろうから今までは心配していなかった。 だが今回の敵上…

 ●「続・知られざる日豪関係」(821)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”新しい目と耳” 二日後の一三日夜、今度は日本の戦艦が到着した。 七〇分にわたって彼らは一四インチ砲でヘンダーソン飛行場を容赦なく砲撃した。 夜が明けてみると無線局は破壊…