2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

 ●「続・知られざる日豪関係」(612)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 日本軍はガダルカナルで何を始めようとしていたのか。 クレメンズ、マクファラン、ローズの三人は、この問題についてきたるべき危険な日々に備えながら、…

 ●「続・知られざる日豪関係」(611)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き ケン・ヘイとともにゴールドリッジに落ちついたマクファランも、日本軍の動きが活発になったことに気づいた。 六月八日日本軍の一隊がツラギから到着し、…

 ●「続・知られざる日豪関係」(610)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き ジャン・マリー・オーバン司教は、ソロモン群島の多くのカトリック伝道者と同じように、俗世界の戦争に巻きこまれても一種のキリスト教的中立を保持できた…

 ●「続・知られざる日豪関係」(609)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き それによると、日本軍は二隻のランチに乗って来たが、二、三時間上陸しただけで、一隻はツラギに帰り、もう一隻は西のルンガへ向ったというのだ。 そのこ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(608)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き しかし最初のうちは何も変わったことは起こらず、一週間すぎても敵の来る兆候はなかった。 クレメンズはその間に鶏舎を掃除したり、彼の二二口径銃で射撃…

 ●「続・知られざる日豪関係」(607)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 問題が一つ残っていた。 この地点からはツラギが見えないので見晴しのよい場所が必要になった。 そして翌日クレメンズはぴったりの場所を見つけた。 村の…

 ●「続・知られざる日豪関係」(606)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き ランジェビアとピュールはアオラに残って現住民の斥候と連絡をとりつづけることになった。 その上、ランジェビアは特別な任務を引き受けた。 パリパオに通…

 ●「続・知られざる日豪関係」(605)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 出発に当っては何も秘密めかしいものはなかった。 飼い犬のスイナエにみちびかれて、まるで祭りの行列だった。 ざっと一九〇人の人夫がダニエル・ピュール…

 ●「続・知られざる日豪関係」(604)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 三日のうちに二人は、志願した中国人が動かす小舟にのって南へ向い、サンクリストバル島で待っていたスクーナーに乗りかえてニューヘブリデス島へ渡り、そ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(603)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 教会から海岸沿いに小舟を走らせて来たスリフトは、空母ヨークタウンの米人飛行士二人を連れていた。 操縦士のレナード・イウォルト中尉と同乗の機上通信…

 ●「続・知られざる日豪関係」(602)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 彼はアオラの背後の丘陵にあるパリパオという小さな集落に、あらかじめ退避所を準備しておいた。 現住民の助手ダニエル・ビュールは、アオラの事務所を忙…

 ●「続・知られざる日豪関係」(601)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 文明人でもトラックを見たことがなかったとしたらどう表現できよう。 巡洋艦と駆逐艦の違いにしても、彼らがふつう軍艦のことを、クック船長の昔から man …

 ●「続・知られざる日豪関係」(600)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き この伍長は事務所の壁をゆるがすような大きな音をたてて入ってくるまじめな男で、偵察隊編成を命じられると部下の巡査の中から適任者をえらび、近隣の村…

 ●「続・知られざる日豪関係」(599)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 彼には日本軍とは別の恐怖も迫っていた。 一月ほど前、ウィルモットという鉱山技師がベッドの中で現住民に斧で殺された事件があった。 それは偶然の事件だ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(598)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き クレメンズの方は一人で孤独な日々を送っていた。 空っぽになった事務所もカシの木で作られた家具も、さむざむとわびしげに見えた。 最後のビールは四月に…

 ●「続・知られざる日豪関係」(597)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 彼らのなかではシュレーダーがリングサイドとも言うべき絶好の場所にいた。 近すぎるぐらいだったと言ってもよい。 そのため、沈没した日本軍哨戒艇の生き…

 ●「続・知られざる日豪関係」(596)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 西方へ転針したフレッチャーは進撃する日本軍の別の一翼であるポート・モレスビー占領部隊に向い、五月七日と八日サンゴ海海戦で、米艦載機は日本の空母一…

 ●「続・知られざる日豪関係」(595)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 誰かがステーションにあるドラムを叩きはじめたが、クレメンズには、それが 「来て見よ、来て見よ」と叫んでいるように聞こえた。 クレメンズたちはまだ知…

 ●「続・知られざる日豪関係」(594)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 東方のアオラでは、クレメンズが徹夜で仕事をつづけていた。 その夜はまちがい警報に応答したり、現住民の見張りが怖がって逃げ腰になるのをなだめた…

 ●「続・知られざる日豪関係」(593)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き さて日本軍のツラギ上陸はガダルカナルの監視員たちにとって全く新しい悩みとなった。 敵はまっすぐ襲ってくるだろうか。 誰にも分らなかったが、それを阻…

 ●「続・知られざる日豪関係」(592)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 山本五十六大将がすでに計画していたミッドウェー島周辺における決定的海上戦闘とあわせて日本の勝利は確実となり、連合軍はこれ以上戦うことの無益さを覚…

 ●「続・知られざる日豪関係」(591)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 実際は二隻のうちの一隻だけが輸送船だったが、多数の日本兵が上陸しつつあるという彼の直感は正確であった。 日本軍の進撃は再開されたのである。 計画…

 ●「続・知られざる日豪関係」(590)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き クレメンズには損傷したカタリナ機を自沈させ、中国人の避難者をのせた三隻のスクーナー(注:2本以上のマストに張られた縦帆帆装を特徴とする、帆船の一…

 ●「続・知られざる日豪関係」(589)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 五月三日の明け方,一隻の古ぼけた沿岸用舟艇がたどりついて,事態はやっとはっきりした。 その舟にはオーストラリア空軍の全員が乗っていて、報告による…

 ●「続・知られざる日豪関係」(588)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 雑音がひどかったが、無線器に身をかがめるとかすかなしかし絶望的な声で、「ステーキと卵。ちくしょう。ステーキと卵。ちくしょう。VNTG局からVQJ-4局へ…

 ●「続・知られざる日豪関係」(587)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き この時クレメンズはアオラで特別に忙しかった一日を終ろうとしていた 持ち去るべき記録類や物品のつめこみ作業をつづけながらカタリナ機の乗員に食事の世…

 ●「続・知られざる日豪関係」(586)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 農園に帰ると一人の客が待っていた。 白髪のローズがラボロから、食料と情報を求めてランチで下って来たのだった。 ヘイがバンブー・クリークから戻ったの…

 ●「続・知られざる日豪関係」(585)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き そこはツラギからわずか六〇マイルしか離れていない。 オーストラリア空軍はマクファランに対して、ツラギの哨戒機基地から撤退を開始したこと、オースト…

 ●「続・知られざる日豪関係」(584)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 四月二九日、待つだけの日は終った。 その朝オーストラリア空軍はマクファランに対し、日本の大艦隊がソロモン群島に向って集中しているもようだと通報し…

 ●「続・知られざる日豪関係」(583)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より ”ステーキと卵”の続き 彼はガダルカナルとツラギの間にある小島サボ島で商店を開いていた男だった。 別の一台はチョイセル島に住む混血のジョー・マーティンに渡されたが、この…