「牛乳配達の馬車」のさらに続き

  

 真夜中に、どうして馬車で牛乳を配達するのか? これは、愚問というものだろう。
 夜が明ければ、電車が走り、車がひしめき、ときには救急車や消防車がけたたましいサイレンを鳴らして通り過ぎて行くその道を、深夜には昔ながらの牛乳馬車が、ゆったりと“かっ歩する”のは、何とものどかで、優雅? な光景ではなかろうか。
 せせこましいところで生活していた人間には、想像もつかないほど「のんびり」としている。それに、夢とロマンがある? 
 冬の冷え冷えとした周囲の空気を一瞬和ませて、牛乳馬車のひずめの音は、深夜の街にそっと消えて行った。
 電車通りから一歩入った閑静な住宅街では、静かなひずめの音を、“睡眠薬代わり”に聞く人も多いという。
 何事にも、まず「効率的に」を優先させて考える世界とは、あまりにもかけ離れている?
(注) 思い出したこと
 この牛乳馬車は、「ミルク・ポニ−」と呼ばれていた?