社会生活(7)

 

 いつもは大勢の客で混雑する当のス−パー・マ−ケットにほとんど人影がなかったから、この不買運動はかなり徹底していたようだ。
アメリカ系のス−パー・マ−ケットは、どの店も生鮮食料品の値段を妥当な線にまで引き下げた」。二日後の新聞は、こう伝えた。
 ス−パ−・マーケットといっても、日本のデパートの小型版と言えるほどいろいろな商品を扱っている。一部の食料品を高くしたために、ほかの売り場にまでお客が寄り付かなくなってしまったら、割に合わないということなのだろう。
「生鮮食料品の値段を引き下げろ」という程度の“要求”は、この国では可愛いもの? いや、きわめて控えめなもので、もっとスケールの大きい市民運動がある。
 例のサリドマイド児の補償を巡って、イギリスの製薬会社と被害者との交渉が難航したときのことだ。“熱い戦い”は、意外なところに広がっていた・・・。