アボリジニ−(17)

 

 話を元に戻す。
 生後数ヶ月の原住民の女の子を養育していたブラウン氏の婦人は、
「生みの親が子どもを取り戻そうとしたのは、娘と引き換えにもらえる“お金”が目当てだった」と話す。
「あらかじめ、ブラウン夫妻がその子を自分たちの養子にしておけば、問題は起きなかっただろう」と言う人もいる。
 もちろん、彼らも、それを考えなかった訳ではない。
 事実、ブラウン夫妻は、「養子縁組」の手続きをしている。だが、政府から、
「白人の血が混じっていない原住民の子を養子にすることは、認められない」と拒否され、断念せざるを得なかったというのが真相だ。