●「続・知られざる日豪関係」(510)

「わたしと映画・南十字星」(60)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 操縦者は潜水服を着、半身をあらわして舟をすすめる。
 目標に近づくと、時々頭を上げて方向を見定めては、また水にくぐる。
 艦船のそばへ来れば、右手で操舵をにぎり、左手でリムペットをとり出して、磁石装置により舷側へつけるという仕掛けになつている。
 私はこの話を紙に書きとると、急いで傅令を呼んで、ダヴィドソン少佐を取調べ中の水元大尉の許へとどけた。
 水元大尉は私のメモを見てから、私に輪をかけたハッタリで、その全貌を聞きだしてしまつた。
 彼らはSBを日本軍に渡してはならないという厳しい命令があつたので、その秘密を保持するために帆船ごと爆發し、生命を危険にさらしてゴムボートに乗り移つたのだつた。