●「続・知られざる日豪関係」(769)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
それからローズの無線機を使って、しばらく前から考えていた提案を連絡してみた。
一同が去ったあとも一人だけタンガラレに残って情報連絡をしたいというのだった。
彼は暗号も知っていたし、送信機を扱うこともできる。
ここにいた方がはるかに役に立つと。
だが師団司令部は冷たく返信した。
「全員、くり返す、全員待避すべし」
仕方なく彼は二八日、その夜の疎開にそなえて準備にかかった。
PBY二機では最少限必要なものしか運べないので、ほかのものは埋めたり、森にかくしたりした。