●「続・知られざる日豪関係」(889)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 というのは、一二月一六日、B - 17重爆が海に落ちたという通報が来て、ドナルド・ケネディがボートに乗って救助に向ったからである。
 彼はマールに弾丸をこめた自動小銃を手わたし、事実上、監視所を任せて出発した。
 三日間、彼女は通信の往復をすべて処理し、斥候の報告を受けとり、ヘンダーソン飛行場に爆撃目標を通知する信号を考案することまでやってのけた。
 それも長くはつづかなかった。
 一二月二一日、一七機の戦闘機が上空に飛来し、その援護下にPBY飛行艇がセギ・ポイントの沖に着水して一四人の日本人捕虜を拾い上げ、またマール・ファーランドを乗せて飛びたった。
 ツラギとガダルカナルで、後方のヌーメア(ニューカレドニア島)への輸送機を待っていた時、彼女をめぐってちょっとした騒ぎが起こる。