18歳までは幸せだった?(3)


飲み続け喋り続けてふと時計をみると、午前2時を過ぎていた。私は5時間、ほかの客は8時間もぶっ通しで飲んでいたことになる(急な用事と男だけのパ−ティ−への戸惑い、そして親友から聞かされた「パ−ティ−は夜通し続くよ」のひと言で、「遠慮なく遅れて参加した」のが正解だった?)。8時間も彼らとつきあっていたら、きっと倒れていたに違いない。
 同じ人類に属しながら、どうしてこんなにタフなのだろうか。アルコ−ルには自信のある私だが、彼らとはまったく太刀打ちできない。いや、完全にお手上げだ。巨大で強靭な胃袋を持つオ−ストラリアの紳士たちの飲みっぷりには感心するばかりだった。
「ジェントルマンたちよ、そろそろお開きにしようぜ。これ以上飲むと、この家の愛犬に歩き方を教えてもらわなければならなくなる・・・」。一番年上の客がみんなに声をかけたかと思うと、いきなり四つんばいになって、犬の歩き方を真似てみせた。
 お喋りの方はそのままに、みんなは一斉に立ち上がって後片づけに取りかかる。皿やコップ、フォ−クなどを流し台に運んだり、残った料理をまとめたり・・・。
 親友が、アガリの紅茶とケ−キを用意している間に、客の一人がエプロンをかけて皿洗いを始めた。「セクシ−だぞ」と、誰かが冷やかす。
 彼が洗った皿をすぐさま受け取ってふきんでふく人、それを食器棚に納める人間。とにかく、手際のよさにはびっくりした。私なら、間違いなく皿の2〜3枚は割っていただろう。さすが「音に聞こえたオ−ストラリアン・ハズバンド」たちだ。皿を洗うにしてもふくにしても「板について」おり、“さまになっている”からニクい。しかも、8時間も飲み続けた後なのに・・・。
 アッという間に、流しの周囲に積まれていた食器類は片づいてしまった。
 ジェントルマンたちが後片づけをするのは、この日のような男だけのパ−ティ−にかぎらない。ご婦人方が出席するごくふつうのパ−ティ−でも、後片付けするのは男たちの仕事である。まことにご立派!頭の下がる思いがする・・・。
(注) 思い出したこと
 昨夜、隅田川花火大会の様子をテレビで見た。このとき、メルボルンのアルバ−ト・パ−ク(F1のレ−シング会場になっている?)で日本の花火が打ち上げられ、大きな話題になったことを思い出した。翌日の新聞は、日本の花火業者の写真とともに、「こんなに美しい花火を見たことはない。すばらしくて感激した」という記事を載せた。この国では、ド−ンと上がって、「パッと開いてサッと散る」きわめて単純な花火が主流だったので、種類が豊富で多彩な日本の花火にメルボルンの人々が感動したのは当然かもしれない。