なかな言わない「アイム・ソウリ−」

  

 この国で不思議なのは、人々が“肝心なとき”に「アイム・ソウリ−」と言わないことだ。言い換えれば、この言葉には、単に「ご免なさい」では済まされない重要な意味が含まれているようだ。
 たとえば、車同士がぶつかったときなど、「ごめんなさい」とは言わずに「あなたが悪かったからだ」と、互いに「相手にミスがあった」と言い張る。これは、何度かそういう場面に遭遇したオ−ストラリアの友人から聞いた話だ。
「ごめんなさいでは済まされない重要な意味」とは何か? それは、「アイム・ソウリ−」と言ったとたん、「すべての責任は自分にある」と、自らの過失を認めることになるからだという。具体的に言えば、「この事故に伴う補償金やら何やらは、すべて私が支払います」という結果になってしまうのだ。そこで、あくまでも「あなたのミスだ!」と言い続け、主張疲れ? したら、あとは法律の専門家に任せることになる・・・。