男の服装(3)
ホテルには、チェック・インのために“ちょっと立ち寄る”はずだった。だが、みんなはそれぞれの部屋に引きこもったまま、なかなか出てくる気配はない。
私は、ホテルのレストランでお茶を飲みながら、「ご一行さまのお出まし」をひたすら待ち続けていた。約束の集合時間は、とうに過ぎた。依然として、誰も現れない。
仕方なしに、ホテルの前に待機しているバスに乗り込んで、居眠りをすることにした。シャワ−を浴びたい気分だったが、ひどく疲れていた上、集合時間のことが気になった。
いつの間にか、ぐっすり寝込んでしまったようだ。
夢うつつにバスの出発する音を聞いて、ふと目が覚めたとき、私は一瞬腰を浮かせてバスの出入り口に向かっていた。「乗るバスを間違えた」と思ったからだ。
たとえ夢の続きを見ていたにしても、バスの中の雰囲気があまりにも変わり過ぎていた・・・。