社会生活(4)


 台風に伴う集中豪雨で、メルボルンとその近郊が大洪水に見舞われたことがある。
 メルボルンの目抜き通りに“川”が出現して濁流が渦巻き、市民を驚かせた。私の勤務先のビルでも、“雨どい”が豪雨を裁ききれずに天井から雨漏りし始め、大騒ぎとなった。雨水がオフィスからオフィスへと駆け巡り、じゅうたんに「水たまり」を作ったからだ。
 最もひどい被害を受けたのは、実は近郊の農家だった。広大な畑は、一面水浸しとなり、たくさんの牛や羊が溺死して、水に浮かんだ。
 ス−パー・マーケットや八百屋さんの店頭に並ぶ野菜類も、軒並み値上がりした。需給のバランスが崩れて、日本とは比較にならないほど安い野菜や果物の値段が高騰し、普段なら1個20セント(80円)のキャベツには、いつもの3倍の値段がつけられた・・・。