「オ−ストラリア人気質の詳細」(9)

 

 この喫茶店で使われているのは、紙製のスティック状の砂糖ではなかった。
 若い二人連れは、透明で四角い砂糖袋に、中身を少し残したまま捨てたようだ。
 オ−ストラリアの親友は、小さな声で「オウ・ノウ」と言ったようにも聞こえた。
「何を熱心に見ているんだい。何かおもしろいものでも見つけたの?」
「今、あの人たちは砂糖を捨ててたね。いったい、どうしてなんだ!」
「見てなかったけど、きっと、ダイエットでもしてるんじゃないの?」
「そんなことを聞いているのではないよ。なぜ、砂糖を捨ててしまうか知りたいんだ!」
 日ごろから頭の回転が鈍く、すっかり日本人に戻っていた私も、ハッと気がついた。
「確か、日本はオ−ストラリアから砂糖を買っているんだよね。それなのに、どうして、こんな無駄な使い方をするのか!」 二人は、叱責するような口調で私に質した。
「・・・」