夜行列車のハプニング(1)

 

 南オ−ストラリア州の首都アデレ−ドは、まるで雲のない街のようだ。
 2年ごとに開かれる「アデレ−ド芸術祭」には、世界中から各分野で一流の芸術家たちがやってくる。
 その芸術祭を見学するため1週間ほど滞在したのだが、この間一度も雲を見ることはなかった。抜けるような青い空とまばゆいばかりに輝く“星だらけ”の夜空だった。
 アデレ−ドは、オ−ストラリアの首都キャンベラと同じく、砂漠の中に造られた“人工都市”だ。街は、実に整然としている。
 これは、この芸術祭を見学するため、メルボルンから乗った夜行列車の中での出来事だ。
 私は、ヘリコプタ−に乗って怖い目に遭ってからというもの、飛行機はすっかり“苦手になって”しまった。だから、列車を利用したのだが・・・。