アボリジニ−(3)

 

「我が国には、貧乏人も金持ちもいない」。
 これは、オ−ストラリアの人々が、自慢そうに口にする言葉だ。
 こういうとき、彼らは原住民のことを、“さっぱり忘れて”しまっているのだろうか。あるいは、逆に「十分に意識しているために、触れられたくない」のだろうか。
 事実、アボリジニーについて私がひと言でも尋ねると、彼らは決まって「いい顔」はしなかった。
 オ−ストラリア原住民は、一万年以上も前にアジアから渡ったという学者もいる。だが、まだ「謎の部分」が多く残されている。
 18世紀末に、キャプテン・クックがオーストラリアにやって来たころには、30万人の原住民が、カンガルーや野牛などを追う狩猟生活をしていた・・・。