ある講演から(10)

 

 実はこの年は、メルボルンだけでなく、オーストラリアの各地が干ばつに見舞われ、その影響はかなりの範囲に及んだのです。
 メルボルンの水がめであるダムの貯水量は日に日に減って行き、そこで「給水制限」の措置が取られたわけです。
 早速、各家庭に通達が出され、その中に、「水道の水を、そのまま直接庭にまいてはいけない」という一項がありました。
 しかし、「やっと芽? が出てきた芝生が駄目になってしまう」と気遣う友人に、私は、つい日本人的感覚から、
「少しぐらい水道の水をまいたところで、わかりゃしないじゃない?」と言いました。