ある講演から(12)

 

「規則を破って、水道の水を直接庭にまくと、他人の持つ権利を侵すことになる。
 つまり、みんなの共有である水を、特定の個人が勝手に使うことは許されない。
 そういう行為は、厳しく非難されるべきだ」。
 彼は、ていねいに、こう説明してくれました。
 正直言って、そのとき私は、友人のこの言葉をそのまま素直に信じることは出来ませんでしたが、その後、ある日の新聞を見たら、「庭に水道の水をまいて告発され、多額の罰金を支払った」という記事が載っていました。
 その人は、たまたま長旅から帰った直後で、メルボルンが給水制限中であるのを知らなかったそうです。