ある講演から(13)

 

 言い換えれば、オーストラリアは、それほどルールに厳しい社会なのです。
 日本人のある知人が、横断歩道を渡っている途中で信号が赤に変わり、車に跳ねてられて、不幸にも亡くなるという事故がありました。
 日本では、こんな場合、「ドライバーの前方不注意」とされると思いますが、オーストラリアでのこの事故では、運転者はまったく非難されませんでした。
「信号を無視した歩行者が悪かった」というのです。
「ルールを守らない方が非難されるべきだ」という考え方が、徹底しています。
「人種のルツボ」と言われているように、多民族を抱えるこの国では、お互いに決められた規則を厳しく守らないと、社会そのものの存在が危うくなってしまうからなのでしょう。