ある講演から(27)

 

 学校の先生方から、お医者さんや看護婦さんまでがストライキをするのですから、日本人の私が驚くのは当然かもしれません。
 1972年2月、私の住んでいたメルボルンの近くにある発電所が、ストに突入しました。
 すると、直ちに電力の使用制限が実施されました。
 具体的に言いますと、一般の家庭では「一部屋に2灯以上つけてはならない」、オフイスの明かりは「3分の1に減らせ」という通達が出されたのです。
 もちろん、これに違反したら、すぐに罰金を取られます。
 私の勤めていたオフィスでも、「3分の1に減らす」ために、守衛さんが次々と室内の電気を消して回り、建物全体が暗くなってしまいました。