ある講演から(46)

 

 日本に帰るときに乗ったオーストラリアの航空会社の国際線で、私が居眠りをしているうちに息子の姿が見えなくなり、一瞬慌てました。
 でも、「 飛行機の中だから、心配することもないだろう」と考え直しました。
 1時間ほど経ってから、スチュワーデスに手を引かれながら、ほっぺたにキス・マークをつけた息子が、ニコニコ顔で席に戻ってきました。
「スチュワーデスのお姉さんと一緒に操縦席に行って、パイロットのオジさんに、飛行機のウンテンを教えてもらったんだ」
と、自慢げに言うのです。
「飛行機の中で、退屈そうにしている子どもの面倒までみてくれる」。
 そんな「すてきな人々のいるお国柄」なんです、オーストラリアは・・・。