「オーストラリアを知らせる勝手連」(27)

 

 100回以上の講演の中で、今でも忘れないのは、雪の降りしきる夜、石川県の山奥にある公民館を会場に、20人ほどの若者と話し合ったときのことだ。
「オーストラリアの奥地に住む子どもたちの夢は、一生のうちに一度でいいから海を見たいということだ」と話すと、いくら山奥とは言え、車で簡単に海に出られる彼らは、改めて「オーストラリアの広大さ」を実感し、驚いたようだ。
 この話をきっかけに、話し合いはストーブが不要になるほどの熱気を帯び、深夜の2時まで続いた。
 宿舎に帰るやいなや、泥のように眠りに落ちたが、その疲れは、むしろ「さわやか」だった。