「知られざる日豪関係」(3)

 

  昭和17年6月5日大本営発表
「帝国海軍部隊は特殊潜航艇を以て、5月31日夜濠州東岸シドニー港を強襲し、港内突入に成功、敵軍艦一隻を撃沈せり。本攻撃に参加せるわが特殊潜航艇三隻未だ帰還せず」。
 6月1日シドニーのラジオ放送
「日本の特殊潜航艇三隻が港へ入り、停泊中の艦船に攻撃を加えた。この三隻の特潜は一隻は砲火により、二隻は爆雷により沈められたものと信ずる。敵の企画は完全に失敗した。
 わが方の損害は軽微で、一隻の非戦闘用の小型船が沈められただけである」。
 シドニー軍港は、当時南太平洋の中では最も防備の完全なところだった。
 それだけに、市民に与えたショックは大きく、人々は、「深い恐怖感に襲われた」という。