「山本康久氏の証言」から(45)


 ふぐを十分にいただいて、体が温まったせいか、宴会場にオーバーを忘れて帰ってしまった。
 翌朝、公用使に「取ってくるよう」依頼していたところ、私たちのやり取りを聞いていた艦長から、
「出港時間も迫っているし、君には、航海手当は必要ないだろう。
 奥さんをもらったばかりの新婚家庭なのだから、ここ(佐伯)で降りるように」と、命じられた・・・。
(注) 「加俸」 職務の性質、土地の状況、その他特別の技能を要するなどの理由で、正規の俸給以外に増給するもの。在勤加俸の類。(広辞苑
「航海手当」 平成3年4月に、岩上洋泰さんの書かれた「父(晴雄氏)の手記〜海軍予備学生〜」によると、
「それでも我々の俸給は、少尉の七十五円以外に戦地勤務手当、 航海手当及び特殊潜航艇搭乗員としての危険手当九十円が加算 ... 」などが支給されていたという。