● 作家の描いた「特殊潜航艇」(5)


「田中君は、興味ある情報を私に漏らしてくれた。
『松尾艇と中馬艇は、攻撃の後引き揚げられて、搭乗員の遺骨は交換船で日本に帰っています。
 しかし、伴中尉艇は、湾口を出て、南方二十マイルの海岸近くで沈没しただろうという推定だけで、その行方がわかっていません。
 ところが、最近、スキンダイバーの現地人漁師が、midget submarine(特潜)らしいものを発見した、と総領事館に連絡して来たのです。
 そのへんはリーフがずーっと沖まで張り出していて水深は割に浅く、三十メートルから五十メートル位です。
 リーフは泥と違うので、特潜が埋まる心配は少ない。それでどこだと聞いたら、金をくれれば教えるというのです。それで、わたしたちも考えているのです・・・・・・』」