● 作家の描いた「特殊潜航艇」(25)


「艇はサウスヘッドからかなり離れていた。
 ここから見ると、灯台のはるか延長戦に、ハーバーブリッジのアーチが遠望された。
 三人の艇長は、果たしてこのアーチを視認し得たであろうか。
 もし、視認し得たとするならば、アーチは夕照を背にうけて、こよなく美しく輝いていたかも知れない、と私は考えていた。
高速艇はサウスヘッドを左に見て針路を南西にとり、防潜網のあったあたりを通り抜け、ブラッドレー岬の南に出た。
 ここからはガーデンアイランド、ハーバーブリッジが見通せた。」