● 作家の描いた「特殊潜航艇」(59)

 
「別のみだしに『白昼強襲或は夜襲・敵艦轟沈』とあって、次のような記述がある。
 斯くて御稜威(みいつ・天皇や神などの威光)の下天佑神助(注:てんゆうしんじょ・天の助け、神の加護)を確信せる特別攻撃隊は某月某日枚(ばい・注:昔、夜討ちのときなどに声を出さないように、兵士や馬の口にくわえさせた、箸のような形をした道具。ひもで首に結びつけた。口木。)をふくんで壮途につき、真珠湾目指して突進し沈着機敏なる操縦により厳重なる敵警戒網並に複雑なる水路を突破、全艇予定の部署に依り港内に侵入或は白昼強襲或は夜襲を決行、史上空前の壮挙を敢行、任務を完遂せる後、艇と運命を共にせり。」