● 作家の描いた「特殊潜航艇」(68)

「テキサスのキャンプ・ケネディ収容所の司令官はテーラー大尉と言って初老の陸軍士官であった。
 彼は日本兵に恨みを抱いていた。
 真珠湾攻撃のとき、彼は陸軍少佐で、守備隊の大隊長を勤めていた。
 日本軍が奇襲したとき、彼は外出してホテルに泊まっていた。
 隊に帰ると宿舎は破壊され部下から戦死者が出ていた。
 彼は大尉に降等され、後方の閑職に回されたのである。
 自分の出世が止まった原因を日本軍のだまし討ちにあると考えていたので、彼は徹底的に日本兵を恨んだ。」