● 作家の描いた「特殊潜航艇」(70)

「房内では一日に食パン一斤(きん)と水をコップに一杯である。
 酒巻はこの独房に三週間ずつ三回入れられた。
 すべて理由はなく、狷(けん)介なるテーラー大尉の個人的報復である。
 楽天的な酒巻はさして苦にしてもいなかったようであるが、後で二週間ほうりこまれた私は、彼の苦痛を体験することが出来た。
 戦後、極東軍事裁判が行われたとき、インド? 代表が、
アメリカ側では、日本人の捕虜を虐待した事実はなかったのか?」ということで、酒巻の出廷を求めた。」