● 作家の描いた「特殊潜航艇」(71)

「酒巻は、自分の体験を始め、キャンプ・マッコイで軍事労働を拒否した日本兵多数が銃剣で突き刺された事件や、デンバー結核療養所にいた士官と下士官計三名が、衛兵と衝突して射殺された事件などを述べる積りで出廷したが、その一部を述べかかったとき、ウエッブ裁判長は
「もうよろしい」と証言を却下したということである。
 酒巻の特潜攻撃取材については懐かしい思い出がある。
 昭和二十一年一月、酒巻と共に日本に復員した私は、名古屋の中日新聞に勤めることになった。」