●「続・知らざる日豪関係」(93)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「多分これ以前に撃ち落とされた零戦は、大破炎上か海中に没するかで、まともな状態では捕獲されていなかったのだろうが、となるとこのメルヴィル島の零戦からはずされたエンジンと機体の一部は、貴重な捕獲品として、それももしかしたらその第一号としてアメリカ軍の手に渡っていたのではないだろうか。
 P40キティホークをはじめ、さまざまな航空機製造をアメリカに依存していたオーストラリア軍が、入手した敵機の部品をアメリカに手渡すことは、充分考えられる。
 ただ一九四二年三月の時点では機体全部を運び出してはいないので、復元し試験飛行をすることはなかっただろうが、少なくとも零戦の大きな特長の一つであるエンジン、中島製栄二一型発動機などは、性能研究の充分な材料となっていたに違いない。」