●「続・知られざる日豪関係」(294)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
  

「『備考』 
 斯クシテ此ノ日飛龍戦斗機隊ノ揚ゲタル主要戦果左ノ如シ
 戦闘機(Pー40ト認ム) 一機迫撃 操縦者落下セルヲ銃撃
 大型輸送機 一  大型機 一  小型機二 大破
 大型機 二  小型機 三  飛行艇 二 炎上
 特設巡洋艦(六〇〇〇噸) 艦橋掃射相当ノ損害ヲ与フ


  以上が豊島機の、『戦闘ノ情況』の全文である。
 さして長い説明ではないが、いくつかの疑問の鍵が詰め込まれているような文だ。
 私はこれを読みすすみながら、オーストラリア公文書保管室で集めてきた報告書の内容や、バサース島のブラザー・トムの話、そしてダーウィンのジョン・ハスレット氏の話を思い出し、ばらばらに散っていた点が次から次へと線で結ばれてゆくような満足感を得ることができた。
 やはり、トランプの数合せに残った最後の二枚のカードは、南忠男イコール豊島一だったのだ。」