●「続・知られざる日豪関係」(339)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「そして『大丈夫ナリ』と新田機に掌を向けて応答はしたものの、エンジンは次第に馬力を失い、高度を維持できず、隊形から離脱せざるを得なかった。
 どんどん高度は落ち、四千メートルに来たとき、艦攻隊中隊長機の脇を抜け、小山氏の姿を見つけて、『メシがない、じゃあ』と合図した。
 このとき小山氏は燃料が洩れているのを見てないので、主翼内タンク、胴体内タンク、そして増槽タンクとも、燃料はほとんど残っていなかったに違いない。
 豊島が機首を真北に向けたのは、この直後だろう。」