●「続・知られざる日豪関係」(490)
「わたしと映画・南十字星」(40)
「オーストラリアの特攻隊」の続き
私の軍隊生活の間に、こんなに丁寧な言葉で敵の俘虜に挨拶したのを見たことはない。
翌日、風呂に入り、新しい日本の兵服に着かえてさっぱりした彼らを四組にわけて取調べをはじめた。
一行中の最上級者は英国海兵隊のダヴィドソン少佐だったが、この人はお目付けか顧問と言った地位らしく、實際の指揮は濠陸軍のページ大尉がとっていた。
ページ大尉は年齢二十七歳、細面に美しい口髭をたくわえた好男子で、シドニー醫科大學在學中太平洋戦争がおこったので志願して將校になったというだけに、言葉も態度もきびきびして気持ちがよかった。
私は數カ月の間に、心からこの人と親しくなった。