●「続・知られざる日豪関係」(503)

「わたしと映画・南十字星」(53)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 彼らの企圖が挫折したのは金曜日の夕方だつた。
 この報告が司令部にとどいたのは、私が冒頭に書いたように月曜日の晝食の時だつた。
 言いかえれば、彼らが日本軍の警戒を過信せず、その夜大膽に攻撃を行つたなら、輸送船爆破は容易だつたにちがいない。
 おどろくべき日本側の手抜かりであつた。
 私はこんな質問をした。
「マポール島へ日本軍が近づいたのが解つていたか」
「はじめから見ていました」
「どう感じたか」
「接岸の状態から見て、この島に疑いを持つていないと思つた」